anko3780 しあわせーの味
「さぁにんげんさんゆっくりしないでどこかいってね!!おちびちゃんにはゆびいっぽんふれさせないよ!!」
路地裏にれいむの叫びがこだました。
生ゴミ臭いシミだらけの体を風船のように膨らませ、もみ上げをわさわさ動かして俺を威嚇している。
「あのなぁ・・・」
俺は呆れ顔でれいむを見下ろす。
言っておくが俺は虐待趣味もなればこいつの子供をどうこうするつもりもない。
この人気のない路地裏に入ってきたのだってここを抜ければ商店街へ近道になるからだ。
「どっかいくまえにおちびちゃんをなかせたいしゃりょうとしてあまあまちょうだいね!!たくさんでいいよ!!!」
俺が何も言わないので調子に乗ったのか、れいむはさらに子れいむへの慰謝料までを要求してきた。
確かにこいつの子供を蹴飛ばして泣かしたのは俺だ。
しかしそれはあの子れいむが「きょきょをとおりたかったらつーこーりょうにあみゃあみゃちょーらいね!!たくしゃんでいいよ!!」とか言って薄汚い体で俺の足にまとわりついてきたから思わず足が出ただけという話。こちらに非はない。
それなのに子れいむの泣き声を聞きつけた母れいむが俺を虐待お兄さんと決め付け、因縁ふっかけてきたのだ。
「さぁさぁ、だいじなおちびちゃんをきずつけたつみはおもいんだよ!!さっさとれいむにあまあまちょうだいね!!」
したり顔であまあまを要求するれいむに俺はピキィっときた。
そんなにガキが大事なら金庫にでも詰めて二度と出すな、と言ってやりたい。
「おいれいむ・・・そんなにおちびちゃんのことが大事か?」
「ゆゆっ!?もちろんだよ!!おちびちゃんはゆっくりできるんだよ!!」
よくぞ聞いてくれましたとばかりにれいむはふんぞり返る。
「おちびちゃんをつくることこそゆっくりのすべて!!ゆんっせいでいちばんだいじなことなんだよ!!おちびちゃんがいればあまあまもふーかふかのべっどさんもいらないんだから!!
ゆっくりのなかにはにんげんさんのどれいになってまであまあまやおおきなおうちをほしがるやつらもいるけどおばかさんとしかいいようがないね!!だってかいゆになったらおちびちゃんがつくれなくなるのにね。
おちびちゃんのいるれいむこそしんのゆっくり。まったくかいゆっくりってやつはおお、あわれ、あわれなやつらだよ。」
得意そうに自説をべらべらと語るれいむ。
しかしそんな薄汚いなりじゃ何言ったところで負け犬の遠吠えにしか聞こえない。
もっとも野良ゆが飼いゆに勝てる要素なんて子供を自由に作れる点ぐらいしかないのかもしれないが。
きっとれいむもそれにうすうす気づいているが必死に「自分こそ真のゆっくり」と思い込むことでなんとか自我を保っているのだろう。
全く「おお、あわれ、あわれ」な奴である。
「ああ、そうかい・・・じゃあそんなゆっくりしたれいむにあまあまさんをあげよう。」
俺はカバンから食べかけのメロンパンを出す。昼食用に買っていた奴の食べ残しだ。
「ゆ?あまあま!!」
メロンパンを見た瞬間れいむの目の色が変わる。その視線は俺の手にあるあまあまに釘付けだ。
「あまあま!!あまあま!!はやくちょーだいね!!かわいいれいむにちょーだいね!!」
涎をたらしながられいむはまくしたてる。もうあまあま以外の事は考えられないようだ。
おいおい。おちびちゃんがこの世で一番大事、おちびちゃんがいればあまあまなんていらないんじゃなかったのかよ。
俺は苦笑しながられいむにメロンパンを放り投げる。
「はふっはふぅう!!うめっ、これめっちゃうめっ!!!」
メロンパンが地面に落ちるやいなやれいむは喰らいついた。食べかすをボロボロこぼしながら、興奮の為か、もみ上げをわさわさ動かしがっついている。
「うわぁ・・・」
野良犬の方がまだ上品な餌の食い方をしているだろう。あまりに下品な食べ方に俺は眉をひそめた。
このれいむ、野良ゆだから必然的にこんな下品な食べ方になったのだろうか。
それともこんな食い方しかできないできないアホだから野良ゆになったのか。
そもそもなんで物食べるのにケツをぶりぶり振る必要があるんだろう。あにゃるにうんうんこびりついてるし。
そんなこと考えている間にメロンパンは全てれいむの腹の中に納まった。時間にして1分足らずだろうか。
「しあわせぇえええええええ!!!!」
食べ終わるとれいむは大通りにまで聞こえそうな大声で「しあわせー」をした。
コンビニで買ったメロンパンにこれほど感動できるとはなんとも安上がりな奴だ。
まあ隠し味が効いたのかもしれないが。
「しあわせー・・か。そりゃ良かったな。それじゃここ通らせてもらうぞ。」
「ゆゆ!!こんどはもっとたくさんあまあまさんもってやってきてね!!あしたでいいよ!!」
どこまでもずうずうしい奴だ。こっちはもう2度とお前の顔なんか見たくない。
だがこれぐらいゲスなほうが俺も良心が痛まなくてすむ。
俺はニヤリと口元をゆがめる。
「じゃーなーれいむ。お口の中のおちびちゃんとゆっくりしてけよ!!!」
「!!?・・・ゆ・・・・」
れいむのふてぶてしい顔が見る見るうちに青ざめていく。何か大事なことでも思い出したように。
ああ、やっぱりこいつ忘れてやがったな。
自分が子れいむを口の中に入れているのを。
ちなみにさっきこいつがあまあまをむさぼってる時、「ゆんやぁああああ!!」とか「たしゅけてぇえええ!!!」と言う声が口の中から聞こえてきたがあまあまに夢中のれいむは全く気づいていなかった。
今頃れいむの腹の中は子れいむととメロンパンがシェイク状態だろう。「おちびちゃんはままのおくちにはいってね!!ここならてっぺきっであんっぜんっだよ!!」とかほざいていたが、自分で食い殺してりゃ世話はない。
「おじびじゃああああんんんん・・・ゆげぇえええええええええ!!!!」
噴水のごとく餡子を吐き出すれいむを背に向け、俺は路地裏を後にした。