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私の家の棚には、インスタントコーヒーの入っていたビンが幾つかある。 私は詰め替え用を買わないので、空き瓶が何時もゴミになっていたのだが、 最近有効的な利用法を思いついたのだ。 それは、この棚に飾っている、ビンの中を見てもらえば分かるだろう。 中には、ゆっくりという不思議饅頭が入っている。 ビンの中にはそのままゆっくりが入っているのもあれば、ビン底に砂や砂利、土や水が入っているものまである。 そう、私はこのビンでゆっくりを飼育しているのだ。 この中に暮らしているゆっくりは、特に品種改良してある小型の物ではない。 俗に言う、赤ゆっくりというやつだ。 ペットショップで売られている、餌用の安物である。 私は何時もの日課である、ビンの中のゆっくり達をのんびりと眺める。 土の上に枯れた雑草をベット代わりに寝ているのは、赤いリボンのれいむ種である。 水分は餌で補給させている上に、定期的に霧吹きで水を撒いているので、水には困らないだろう。 よく見ると、足の辺りが少し緑色になっている。 おそらくこれはカビが生え始めているのだろう。 そんな事とは知らないで、幸せそうな顔をして眠る赤れいむ。 こいつはゲス因子でも有ったのか、私に対して奴隷だとか、ゆっくりさせろとか騒いでいた。 しかし数日後にはカビに苦しむ姿を見せて楽しませてくれる事だろう。 砂の上に居るのは、ありすと言う種類。なんだか少しやつれている様にも見える。 このビンの中では擬似的な砂漠を表現している。晴れた日には、 日の良く当たるベランダに放置して、砂漠を楽しんでもらっている。 一応は一日に一回、少量の水を与えている。 れいぱーの子なのか、始めの頃は無駄に発情していた赤ありすだったが、 最近は疲れ果てた表情で、ビンの蓋の方ばかり見ている。 水が欲しいと言いたいのだろうが、既に口の中は常時干乾びているので、ろくに声も出せないようだ。 もっとも、ゆっくりという奴はどこから声を出しているのかは知らないが。 れいぱーもこうなってしまえば可愛いものである。 砂利を敷き詰めてあるビンの中で暮らすのは、ぱちゅりーと言う種類。 砂利は角が取れている丸い物ばかりなのだが、それでも赤ゆっくりには痛いのか、何時も泣いてばかりいる。 こいつはここの暮らしが短いのだが、そろそろストレスが溜まり死んでしまうだろう。 自分は頭が良いとか、賢者とか言っていた赤ぱちゅりーだが、そんな物はここでは何の役にも立たない。 帽子を足に敷いていれば、少しはマシになるのだろうが、そんな事も思いつかないらしい。 今日も赤ぱちゅりーはただ泣いて弱っていくだけだった。 水が入っているビンには水上まりさが入っている。 もっともこれは、純正の水上まりさではなく、普通の赤まりさを浮かべている、「無理矢理水上まりさ」なのである。 飼い始めは二匹居たのだが、昨日ついに一匹が落水してしまった。 そのせいか、恐怖が倍増したらしく、昨日から寝ないで落ちないように気を使っているようだ。 もっとも、所詮はゆっくり、今日持てば良い方だろう。 そんな事を考えていると、赤まりさが私の方を見て必死に、おさげをピコピコ動かし始めた。 「たしゅけちぇー!まりちゃをゆっくちさしぇちぇー!ゆえぇぇぇん!!」 私がビンを分かったのか、必死に助けを求めている。 私は優しく赤まりさに笑いかけると、ビンを少し叩いてあげた。 「ゆぴぃぃぃ!きょわいんだじぇぇぇ!おみじゅしゃんはゆっくちできにゃぃぃぃぃ!!」 波が起こり、必死にバランスを取る赤まりさ。 涙を流しながら懸命に生きようとするその姿は大変愛らしい。 このビンには、赤れいむしかないっていない。 うんうん、しーしーは面倒なので処理していないが、餌は欲しがるだけ与えている。 ビンの中では大して動きもしないので、数日でビンに体が触れそうなほどに肥えてしまっている。 「やい、くしょどれい!れーみゅは、おなかがすいちゃよ!さっさとあまあまもってきちぇね!」 私がビンを見ているのに気がついたのか、あまあまを要求してくる赤れいむ。 仕方ないのでビンの中に一つ入れてやると、それを汚らしく食い散らかす赤れいむ。 「むーしゃ、むーしゃ、うめっ!しあわせー!もっとよこせ!」 食べたりないのか、追加を要求してくる。 もう一つビンに入れてやると、満足そうな顔でニヤついた。 「ゆっふっふ!ゆうしゅうなどれいだね!れーみゅは、だいっまんぞくだよ!」 実は、赤れいむが食べているあまあまは、数日前に砂漠ビンで飼っていた赤ゆだ。 仲良さそうにしていた赤れいむと赤まりさが、干乾びて死んだものを餌として与えてやったのだ。 劣悪な環境で、ゆっくり出来ずに干からびていった二匹なので、さぞ甘い事だろう。 この赤れいむは明日になれば、身動き出来ないほどに大きくなるだろう。 ビンの半分くらいまでに大きくなったら、そこに絶食させた赤ゆを放り込んでやろうと思っている。 身動きが取れないまま、体を食い荒らされる事になるとも知らないで、一時の幸せを堪能する赤れいむだった。 黒く目張りをしているこのビンには、赤ありすが1匹入っている。 目張りしてある以外には外の音が聞え難い様に、常時扉付の棚の中にしまってある。 餌を与える時も、なるべく光を当てない様に、あえて夜や夕方に部屋を暗くして与えている。 「ゆぅぅ………まっくらしゃんはいや…ゆっくちできにゃい………」 最初はとかいはじゃないとか騒いでいたありすだが、ただ暗いだけという環境に耐え切れなくなったのか、 最近では弱弱しい声を聞かせてくれるようになった。 冷蔵庫の中にも、ビンが一つ入っている。 ビンの中には赤まりさが1匹入っている以外は、少量の餌と、お情け程度に入れて置いたティッシュ2枚しか入れてない。 このビンは、擬似越冬体験をしてもらう為の物なのだ。 薄いティッシュを体に巻いて、寒さを凌ごうとしている赤まりさ。 小刻みに震えながら、目の前の餌を舐めていた。 「ゆぅぅ…ふゆしゃんはゆっくちできにゃいのじぇ…」 ちなみにこのビンに餌を追加する事はない。 目の前の餌を食べつくせば、それで終わり。 正に、命がけの越冬ごっこなのである。 「ぺーりょ、ぺーりょ…はるしゃん、まだにゃの?…ゆっくちしてないで、はやくきちぇね…」 実は冷蔵庫に入れる前に、事前に私が「春になったら暖かくなる、ゆっくり出来るようになる」と、教えてあるのだ。 その言葉を信じて、来る事のない春を待ちわびる赤まりさ。 まあ、当然春がやってくる事はないし、外に出してやるつもりもない。 今回の赤まりさは賢いのか、餌として与えたチョコを少しずつ食べている。 こいつの前に越冬体験していた赤ありすは、餌としえ与えたチョコを一日で食べてしまった。 そのせいで、数日間飢えと寒さに苦しんでいた。 私は可愛そうだと思ったので、ビンから見える位置に餌として与えたチョコと同じ物を置いておいたら、 それを食べようと必死にビンを齧ったり、舐めたりしていた。 冷蔵庫の開けっ放しもエコじゃないので、この辺りで戸を閉めるとする。 赤まりさは冷たく暗いビンの中で、死ぬまで春を待ち続けるだろう。 最後の一つは、これまた一匹の赤まりさが入っている。 赤まりさの目の前には、積み上げられた沢山の赤ゆっくりの飾り。 そう、これはビンの中で死んでいった、赤ゆっくり達の物だ。 「ゆびぇぇぇぇ!くしゃいのじぇぇぇ!ゆっくちできにゃぃぃぃ!!」 これにはゆっくりにしか解らない、死臭というものが付いているらしく、赤まりさはそれを嫌がっていた。 だが、このビンにはそれしか餌を入れてない。 一応食べやすい様に、蜂蜜をかけてあるのだが、この赤まりさはそれを食べようとはしなかった。 この赤まりさの前に、このビンで暮らしていた赤れいむは、嫌がりながらも、飾りにかかった蜂蜜だけを舐めて暮らしていた。 たが、やはり臭いに耐えられなかったのか、最後には焦点が定まらない瞳で、ケラケラと笑うだけの廃ゆっくりになってしまった。 「ゆぐっ、ゆぐっ、どぼしちぇ、まりちゃがこんなめにあうのじぇ?…まりちゃはにゃんにもわるいこちょ、してないのじぇ?」 返ってくる事の無い問い掛けを、誰に言うでもなく呟く赤まりさ。 こいつは、買ってきた時に私に向かって、自分は可愛いとか、ゆっくりしているとかアピールしていた奴だ。 それも今ではすっかりやつれて、不幸せそうな顔をしている。 餌になった方が良かったのか、虐待されて死ぬのが良かったのか、この生活の方がマシなのか。 それは私には解らないが、少なくとも餌と安全に暮らせる環境だけは用意してあげたつもりだ。 私は赤まりさに微笑みかけると、ビンを棚にしまった。 このビンの中のゆっくり達は、様々な生き様を私に見せてくれる。 種類や環境を気分で選べる上に、手間もコストも余りかからないのが良い。 今度は、どんな赤ゆっくりを飼おうか? 今度は、どんな環境を作ろうか? この趣味は、まだまだ飽きる事がなさそうだ。 完 #pcomment(./comment,reply)