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前anko2347 ゆっくり退化していってね!5

道路の端にゆっくりの親子がいる。
帽子の破れたまりさとその子どもたちだ。子どもはれいむとまりさが一匹ずつ。番の姿は見あたらない。
例の非ゆっくり症を発症した子どもを失ったまりさとは違うゆっくりだ。
子まりさに帽子はなく、子れいむのリボンも半分しか残っていない。
過酷な野良の生活で、どちらの飾りも失われてしまったのだ。
こうなってしまっては、どの群れでも子どもたちがまともに扱われることはない。
せいぜいストレス解消のサンドバッグになって、短いゆん生を終えることだろう。

「おちびちゃんたち、やりかたはちゃんとおぼえているよね」
「おぼえてりゅよ。だいじょうぶだにぇ」
「まりしゃもりかいちたよ、おとうしゃん」
「おちびちゃんたちはえらいね。おとうさんはうれしいよ」

まりさと子どもたちは愛情を込めてすりすりする。
一家の顔には苦労が刻み付けられ、肌はがさがさ、髪はぼさぼさだった。
それなのに、妙に三匹は静かだった。

「それじゃあ、いっしょにゆっくりしようね」

やがてまりさが顔を上げた。
ゆっくりする。
それは今となっては、野良から完全に失われたはずではなかっただろうか。

「おとうしゃん、いままでありがちょうにぇ!」
「えいえんにゆっくちちても、おとうしゃんはまりしゃのおとうしゃんだよ!」

子れいむと子まりさは、名残惜しそうになおもまりさのすり切れたお下げを甘噛みする。
それを見て、努めて無感情でいようとしていたまりさはどっと涙を流した。
我慢できなかった。
悲痛な決断を下した自分に、健気についてくる子どもたちが愛しかったのだ。

「ゆぐっ!……ゆえぇ……ゆぇぇええええん!ごめんね!ゆっくりするほうほうがこれしかなくてごめんねぇぇぇええええ!!」

子ゆっくりになってしまったかのように号泣するまりさの頬を、優しく子どもたちは舐めてあげた。
よく見ると、子れいむと子まりさの目にも涙がうっすらとにじんでいた。
子どもたちも、泣くのをこらえていたのだ。

「なかにゃいで!れいみゅたち、ちあわしぇーになりゅんだよにぇ!」
「もうおにゃかぺこぺこにならにゃいし、あちゅいあちゅいもいちゃいいちゃいもにゃいよにぇ!」

子れいむと子まりさは涙を見せず、わざと無邪気に振る舞おうとしていた。
ゆっくりできなくなった今でも、せめて気持ちだけでもゆっくりしたかった。
なにしろ、こんなことができるのは今日が最後なのだ。

「そうだよ!ゆっくりできるよ!おそらのうえのゆっくりぷれいすにいくんだよお!」

まりさはようやく泣き終えると、二匹の子どもを自分の側に並ばせた。
これで、家族の顔も見納めだ。
まりさたちは這って白線ぎりぎりの場所に移動する。
ちりちりと日光が体を焼くのが苦しい。
向こうからトラックが重々しい音と共に走ってきた。

「いまだよ!いくよ!」

それはまりさたちの待ち焦がれていた、この世からゆっくりプレイスに運んでくれるトラックだった。
迷うことなく、まりさと子ゆっくりは車道に飛び出してトラックの前に立ちはだかった。

「すぃーしゃん!れいみゅをゆっくちさせちぇにぇ!」
「すぃーしゃん!まりしゃはゆっくちちたいんだよ!」
「だからまりさたちをころしてえええええええええ!」

トラックはまったく減速せずにまりさたちの上を通り過ぎた。
一瞬「ぎびゅ!」「ぶぇっ!」「ゆぢぇ!」という悲鳴が聞こえただけだ。
汚い三つの餡子の染みが道路に流れている。
まりさたちの願いは叶えられ、家族は一瞬で轢かれて潰された。
苦痛しかなかったこの世から、まりさたちは自殺して逃げたのだ。
それが、街ゆっくりの大部分が選んだ道だった。
街に住む人々にとって、忘れられない一日になることだろう。
今日は全国初となる、野良ゆっくりの集団自殺が「公に」観察された日なのだ。



「C君、君は今どこにいる?もし君が街頭でゆっくりの調査をしているようなら、俺の所にさっきから入ってくるデータのリアルが見えるはずだ。
すごいだろう?まるで増えすぎたら自殺すると言われているレミングの伝説だ。無論レミングは自殺しない。ただ移動している途中で海に落ちただけだ。
しかし、今この街のゆっくりたちは一斉に自殺を始めている。飼いゆっくりを除く八割以上のゆっくりが自殺しようとしているだろう。
君はなぜだと疑問に思っていることだろう。なぜゆっくりが進化と退化を一代で唐突に行ったことが、自殺につながるのか。
そもそも、なぜゆっくりは退化したのか。君は一連のケースを見てその点にさえ疑問を抱いただろうね」

「まず、野良ゆっくりは進化と退化をほぼ一代で成し遂げた。解剖して分かったんだが、餡子の質や密度が野生と明らかに異なっている。
餡子の形は面白いことに野良ゆっくり、飼いゆっくり、野生ゆっくりでそれぞれ違っている。
野生ゆっくりとは地理的に遠く、飼いゆっくりとも交配する機会は少ないからね。野良ゆっくりと野生ゆっくりはそのうち別種になるだろう。
ゆっくりの餡子は内臓と同時に脳の役割を果たしている。察するに、彼女たちは想像力や空想する力が野生よりも急激に発達したんだろう。
以前も言った通り、ゆっくりの遺伝餡に刻まれた理想郷であるゆっくりプレイスを想像し、それを求める力を野良ゆっくりは強化した。
反動として、野良ゆっくりは今日を生きる力を失っている。想像力以外のすべてが退化したんだ。それが君の見てきた野良ゆっくりの姿だ。
それだけではない。ゆっくりたちはわざわざ日光に過敏になり、わざわざ動物に襲われやすくなっている」

「では、この生物学的に見て馬鹿らしく常識はずれな進化と退化がなぜ引き起こされたのか。
その答えこそ、君が今見ている光景にほかならないよ。ゆっくりは死ぬためだけにそうなったんだよ。
この街のゆっくりの数は非常に多い。他の街と違って、ここはゆっくりの一斉駆除を行わないからね。
興味深いことにこの街のゆっくりの個体群密度は、人里に降りてきて畑を荒らす野生ゆっくりの群れの個体群密度に極めて近い。
山から下りてきて『むれのみんなにごはんをちょうだいね!いっぱいでいいよ!』とわめく群れはどうなっている?
即加工場送りだ。全滅させることは難しく半年ほどでまた群れができてしまうが、とりあえずこれでゆっくりの数は減る。
個体群密度の上昇を抑え、周囲一帯の餌を食い尽くして全滅することを避けるため、ゆっくりはわざわざ人間に殺されているようにも思えないだろうか」

俺のケータイに、さっきから連続してA主任からのメールが届く。
画面をびっしりと埋め尽くす文字に、少々めまいを覚えながら懸命に字面を追う。
考察を終えたらしいA主任の文体は、重しが取れたかのように一人だけ軽やかだ。

「ゆっくりは思い描いたゆっくりプレイスを求めて、手に入らないからどうしようもなくなって最後には自殺する。
天国のゆっくりプレイスに逃げようとでも思っているんじゃないかな。こうすることによって全滅は免れ、数の調整ができる。
これと同じことが2001年のM市で起こっている。君も記事は調べたかな。あれは同じようなゆっくりの大量自殺だよ。
M市はゆっくりんピースによって野良ゆっくりが保護され、ドスが誕生したことも相まって個体群密度が高くなりすぎた。
だからゆっくりたちの大部分はドスと一緒に入水自殺したんだよ。違うのはドスがいたことだ。
恐らくドスはゆっくりオーラを使って野良ゆっくりたちを導き、安らかな気持ちで静かに自殺させたんだろう。そうでなかったら大騒ぎになる。
F市に流れ着いた大量のゆっくりの飾りは、数を減らすために自殺したゆっくりたちの成れの果てだよ。
この集団自殺は野良ゆっくりの意思じゃない。ゆっくりの遺伝餡が引き起こした、死ぬためだけの進化と退化の包囲網だ」

A主任の言っていることは、ゆっくりたちにとってはあまりにも残酷なことだった。
死ぬためだけに、ゆっくりたちは変化した。生きるためでもゆっくりするためでもない。ただ死ぬしかゆっくりには許されていない。
中枢餡からの一方的な命令は、ゆっくりの気持ちも願いも無視して数を減らすことのみを優先する。
あの生物学的にめちゃくちゃなゆっくりの退化は、すべてゆっくりを殺すことが目的だった。
この街にM市のようなドスはいない。ゆっくりオーラでゆっくりさせられ、そのまま安楽死を決め込むことは許されていないのだ。
ゆっくりは最後まで意識を保ちながら、自分で自分を殺さなくてはならない。

「ではまとめてみよう。まずゆっくりの数が増えすぎ、一定範囲に一定量のゆっくりが存在して個体群密度が飽和状態を迎える。
恐らく中枢餡経由の超音波による通信かフェロモンなどによって、ゆっくりは自分たちが増えすぎたことを知る。
これによりゆっくりの遺伝餡のトリガーが引かれる。およそ八割以上のゆっくりに急激な進化と退化が起こる。
最も個体群密度の高い街の中心から、バケツリレーのようにして周囲一帯の野良ゆっくりに放射状に影響が広がっていく。
ちなみに飼いゆっくりがこれに含まれないのは、飼いゆっくりの遺伝餡が野良のそれと長期にわたる交配の断絶によって異なっているからだ。
あらゆる方向からゆっくりは死にやすくなる。食性が変化し、日光に過敏になり、動物に襲われやすくなる。すべては、ゆっくりの数を減らすためだ」

「ゆっくりしたい欲求を高められ、同時に生物として生きる力を失ったゆっくりは、最終的に集団で自殺する。
集団自殺によって数が減ると変化は終息し、生き延びたゆっくりから生まれる子どもは元に戻ることだろう。
進化と退化は遺伝餡による強制的なもののため、数が減ったことを感知すれば次代に引き継がれることはない。
これは個体群密度が高まりすぎたゆっくりの数を調整するために起きた異変であり、一連の結果は今いるゆっくりを減らすことに帰結する」

「このような感じだろうか。俺は退化がどのように起こったのかは分かったが、なぜ起きたのかまでは突き止められなかった。
君がカラスに襲われたれいむを研究所に送ってくれたことから、事態が単なる退化だけじゃないと分かったんだよ。
多分この集団自殺が終われば、またゆっくりたちは普通に戻ることだろう。こんな仕方でしか、ゆっくりは数の調整ができないのだろうか。
もしかしたら、また別の形で数を適度に維持するゆっくりの群れが見つかるかもしれない。集団自殺は一つの回答でしかないのだろう。
いずれにせよ、手伝ってくれた君には感謝している。最後のゆっくりたちの騒動を、ぜひその目で見届けて記事にしてもらいたい」

一通りまとめた後、A主任からのメールは届かなくなった。
一方的に喋ってから一方的に打ち切られた感じだが、もともとこの人の喋り方はこんな感じだ。
A主任としては、しばらく自分を悩ませていた課題が解けたことで気分爽快なのだろう。
だが俺の仕事は、まだ終わっていない。
俺は周囲を見回した。

「ゆっくりプレイスがどこにもないからって、ここまでするかよ……」

俺のつぶやきは、きっと街中の人間が感じていることと同じに違いない。
この街は今、ゆっくりの悲鳴と怒号と哀願と絶叫に埋め尽くされている。
どこにいても、ゆっくりの叫び声から逃れることはできない。
どこにいても、ゆっくりの断末魔の姿を見ないで済むことはできない。
側溝から、建物の陰から、灌木の下から、ゆっくりは姿を現して自分の命を絶とうとする。

「うわああああああ!ゆっぐり!ゆっぐり!ゆっぐりずる!ゆっぐりずるんだあああああ!ゆっぐり!ゆっぐりいいい!」

叫びながら、頭をビルの側壁に叩きつけているまりさがいる。
帽子が脱げて風に飛ばされていても、まりさは一顧だにしようとしない。
ひたすら叫びながらばんばんと頭をぶつける。
額の饅頭皮がようやく破れ、壁に餡子が付着し始めた。
まだまだ、まりさが死ぬまで時間がかかるだろう。

「これをたべれば……ゆっくりぷれいすにいけるよ。いまいくからね……まりさ、あかちゃん…………」

あちらでは、さっきから山盛りの雑草を前にれいむが立ち尽くしていた。
やがて覚悟が決まったらしく、れいむはそれを一気に噛まずに丸呑みした。

「おごぉおおお!おごえぇ!おげおげごえおえごえろおおおおおお!」

たちまち餡子を吐いてのたうち回るれいむ。
即死できなかったようだ。
体を痙攣させつつ、れいむは餡子を吐き散らしてのたうち回る。

「まりざをゆっぐりざぜでええええええええええ!」
「もうやだああああ!でいぶはじぬ!じぬんだあああああああ!」
「あははははははは!ゆっくりできるわ!ごれでやっどゆっぐりでぎるわあああああ!」
「じにだい!じにだい!じにだいじにだいいいいいいい!はやぐじにだいいいいいいい!」
「じなぜでぐだざい!ばでぃざをじなぜでぐだざいいい!ぼういやなんでず!いぎるのがいやなんでずうううう!」

一番多いのは、車道に飛び出すゆっくりたちだ。
ゆっくりにとって、車道を走る自動車は巨大な怪物に見えるだろう。
高速で走るそれにぶつかれば、苦しむこともなく一瞬で死ぬことができる。

「うわっ!さっきからなんだよこいつら!タイヤが汚れるじゃねえか!」

飛び出してきた三匹のゆっくりをコンボで轢いた自動車が停車した。
中の運転手は餡子やらカスタードやらがこびりついたタイヤを一瞥し、舌打ちしてから走り去った。
その向こうでは、親ありすと赤ありす、それに赤まりさが話している。

「いい?おかあさんとおちびちゃんたちは、これからいっしょにおそらのうえのゆっくりぷれいすにいくのよ。
そこならおなかいっぱいあまあまをたべられるし、おひさまにあたってもぽかぽかできるし、からすさんやねずみさんにいじめられこともないわ」
「しゅごーい!ありしゅ、ときゃいはなゆっくちぷれいしゅにいきちゃいわ!」
「まりちゃも!まりちゃもゆっくちぷれいしゅにいきちゃいのじぇ!」

美化された自殺だが、赤ゆっくりたちは死を告げられてもかえって目を輝かせる。
ゆっくりプレイスに行ける、という言葉はゆっくりにとって麻薬となったのだろう。
餡子が変化してゆっくりプレイスを望む部分だけが強められた野良ゆっくりにとって、ゆっくりプレイスに行けるということは最高のゆっくりなのだ。
「ゆっくちぷれいしゅ~♪」「ゆっくち~ぷれいしゅ♪」と歌う赤ゆっくりたちを見て、ありすはほほえんだ。

「ゆふふ、そうね。おかあさんもいきたいわ。それじゃあ、いっしょにすぃーさんにぶつかって、ゆっくりぷれいすにいきましょうね」
「ゆっくちりかいしちゃわ!」
「まりちゃがんばるのじぇ!」

楽しそうに死ぬことを話し合う三匹は、正気の俺にとっては理解できないものだった。
ありすたちはのそのそと歩道から車道に出て行く。
あそこに立っていれば、すぐに車がぶつかってありすたちは死ぬことだろう。
しかし、ありすの目の前で一台の車が急停車した。

「危ないなあ!なにやってんだよ!」

路肩に止めてから出てきた男性は、苛立たしげに車道でのんびりしているありすたちに怒鳴った。
たとえゆっくりでも潰したくない人なのか、自分の車が汚れるのが嫌なのか。
怒る男性とは正反対に、ありすはゆっくりした顔で男に言う。

「きにしないで、にんげんさん。ありすたちはこれからゆっくりぷれいすにいくのよ。はやくありすたちをすぃーさんでひいてほしいわ」
「しょうよ!ゆっくちちてにゃいではやくすぃーしゃんをうごかちてにぇ!ありしゅもうまてにゃいわ!」
「まりちゃたちのおにぇがいきけにゃいの?にゃんで?ゆっくちちてにゃいにんげんしゃんなのじぇ!」

ありすたちの発言に、男性は非常に嫌な顔をした。

「はあ?おい、お前自殺するのか。しかも子どもと無理心中するのかよ。最悪だな」
「ありすたちはゆっくりしたいのよ。でももうどこにもゆっくりするばしょはないわ。だから、おそらのうえのゆっくりぷれいすでゆっくりするわ」

子を巻き添えにして自殺するというありすの姿勢は、やはり男性にとって非常に不快なものだったようだ。
しかもありすは悲壮な顔付きではなく、「さあ殺せ」と言わんばかりのふてぶてしい顔をしている。

「なんでぼーっとしてるの?はやくして。ありすとおちびちゃんたちはしにたいのよ」

まるで思い上がった飼いゆっくりが、奴隷の飼い主に餌を要求するかのような図太い態度だった。
早くしろ。さっさと車を動かして自分たちを死なせろ。
失うものがなくなったための無駄に堂々とした振る舞いに、男性は顔をしかめた。

「どけよ」

男性は足でありすを蹴飛ばした。

「ゆっぎゅううううう!」

顔面に見事にヒットしたありすは、悲鳴を上げて車道から歩道へところころ転がる。

「おきゃあしゃあああああん!」
「ゆっくちちてよおおおおお!」

赤ありすと赤まりさが親の後を追って歩道に向かって跳ねる。
一方ありすはがばっと起き上がると、顔中を口にしてわめいた。

「どうじでごんなごどずるのおおおおお!」
「死にたきゃ勝手に死んでろよ」
「がっでにじぬわよおおおお!だがらさっざどずぃーをうごがじなざいよおおおおお!」

男性の冷め切った口調とは正反対に、ありすは頭に血が上ったらしく激高する。
歯を剥き出しにしてありすは男性に詰め寄った。

「お前らゆっくりの分際で、人間の車を自殺の道具に使おうなんて気に入らないんだよ」

もっともな理屈にありすはたじろいだ。
しかしここで諦めるわけにはいかないと思ったらしく、さらにありすは顔をぶんぶんと左右に振って怒鳴った。

「ゆっぐりいいいいい!だっで!だっでずぃーざんはおおぎいもの!がだいもの!はやいもの!だがらありずもがんだんにじねるもの!
ありずはじにだい!ぐるじいごどがいっぱい!がなじいごどがいっぱい!ごんなにぐるじがっだらもうじにだい!じにだいじにだいじにだいんだああああああ!」

確かに、どうせ死ぬなら苦しみたくないのはゆっくりも人間も同じだ。
頭を壁にぶつけて割るよりも、雑草を食べて中枢餡を吐くよりも、一瞬で潰してもらえば楽にあの世に行ける。
そう思うならば、ありすは低姿勢でお願いするべきだった。
ありすの取った行動は正反対だ。

「だがらざっざどありずをごろぜええええええ!ごろぜ!ごろぜ!いながものだっでいわれだぐながっだらありずをごろじでみろおおおおおおおおお!」

どうせ死ぬんだから、と捨て鉢になっているため、ありすは後先考えずに男性を口汚く挑発する。
そうすれば人間が怒って、自分たちを車で轢いてくれると考えたのだろうか。
男性はため息をついてから動いた。

「そうかよ。そこまでいうなら殺してやるよ」

男性はありすの頭をつかむと、動けないようにしてから猛烈な勢いでアスファルトに足を擦りつけた。
いくらゆっくりの体で一番分厚いあんよでも、あれだけの力で擦られて無事で済むはずがない。

「ぎゃえええええええええ!いだいいだいいだいいい!ありずのあんよ!あんぎょおおおおおお!」

たちまちありすのあんよの皮が破れ、歩道にカスタードの太い線ができる。

「おきゃあしゃんをいじめりゅにゃあああああ!」
「てをはなちぇえええ!ぷきゅうぅぅうううう!」

見ていた二匹の赤ゆっくりが男性に反撃する。
赤ありすは気合いを入れて男の手に体当たりし、赤まりさはその場でぷくーっと膨れる。
どちらも何の役にも立たない。

「お前らもだよ」

ありすの足を使えなくしてから、男性は続いて両手で一匹ずつ赤ありすと赤まりさを捕まえた。
同様に男性は二匹のあんよをアスファルトですり下ろす。

「やめちぇにぇ!いちゃいのやめちぇ!いぢゃいっ!いいぢゃいああああああああああ!」
「やじゃあ!ごめんなしゃい!ごめんなしゃい!ごめなぢゃあいぢゃぢぢゃあああああ!」

赤ありすと赤まりさは大きな口を開けて悲鳴を響き渡らせる。
歩道にさらにカスタードの線が一本と、餡子の線が一本できた。
仲良く三匹で歩けなくなった家族を、男性は直射日光の当たる場所に一列で並べて置いた。
もうこの街では、ゆっくりが日光に弱いことは周知の事実となっている。

「うがあああああ!あづぃ!あぢゅいいいいい!いだいっ!じぬ!じぶぬううううう!」
「ぴゃぎゃああああああ!おびぇびぇ!まりぢゃのおぶぇぶぇいぢゃいのじぇえええええ!」
「あびゃびいいいいいい!いぢゃい!あぢゅい!ぶぁぢゅびよおおおおお!」

直射日光は容赦なくありす一家の全身を焼いていく。
饅頭皮が焼け、中の餡子が熱せられていく凄まじい激痛にありすと赤ありすと赤まりさは絶叫した。
赤まりさに至っては、両目が光で駄目になったようだ。
しーしーを漏らしてその場でもがくが動けない。

「どぼじでええええ!どぼぢでごんなひどいごどずるのおおおおおお!」

叫ぶありすに、男性は意地悪そうに笑った。

「なに言ってんだよ。これで死ねるじゃないか。よかったな」

こうしていればその内、中枢餡が痛んで三匹は死ぬことだろう。
だが、それは車に轢かれて死ぬのとは比べものにならないほどの苦痛を伴う。
これから自分たちがどうなるのかを理解し、ありすは上半身をぐねぐねと動かして男性に叫んだ。

「ごんなの!あぢゅい!あぢゅいいいいいい!だずげでっ!だずげでえええ!だずげでだずげげげごげっぎゃあああああ!」

言うに事欠いて命乞いを始めたありすに、男性は背を向けた。
路肩に止めた車に戻り、ドアを開ける。

「さんざん死にたいとか言っていまさら助けてだって?何様のつもりだよ」

男性はそう吐き捨てると、自分の車に乗り込み去っていった。
残されたのは、終わらない全身の苦痛に泡を吹きながら叫ぶ三匹のゆっくりだけだ。
ありす親子は死ぬまで苦しみもがくだろう。

「うわああああぁぁぁぁぁぁ……………………!!」

突然上から声がした。
見上げるよりも早く、俺のすぐ隣に何かが落ちてきてべちゃりと潰れた。
見るとそれはれいむだった。
近くの三階建ての雑居ビルの屋上から、手摺りをすり抜けて飛び降りてきたのだろうか。
飛び降り自殺をするゆっくりも現れたらしい。

「いぢゃ……いぢゃいよぉおぉぉ…………でぼ……ごれでゆっぐぢ……でぎ……る……よぉ…………」

れいむの上顎から上は四散して周囲に飛び散っていた。
もみあげがぴくぴくと動いているのが気持ち悪い。昆虫の足が体から切り離されても動いているみたいだ。
かろうじて原形をとどめている口で、れいむは嬉しそうに呟いていた。

「れいぶうぅぅぅぅぅううううう………………!!」

続いて番とおぼしきまりさがれいむのすぐ近くに落下してきた。
だが、まりさは運悪く急所をはずしたようだ。
先に飛び降りたれいむは、中枢餡が傷ついたのか既に弱々しく痙攣するだけになっている。
一方まりさは、あんよと下半身が潰れただけで、上半身は無事だった。

「あがぁっ!いだいっ!あんよざんっ!いだいっ!ばりざのがらだっ!ずごくいだいぃいぃいいい!」

まりさは血の海ならぬ餡子の海にひっくり返り、転げ回りながら苦痛を訴える。

「じにだいっ!じにだいぃ!ばりざはじにだいよおおぉぉおおおおおお!ごろじでっ!はやぐごろじでえええええっ!」

中枢餡が壊れなければ、体内の餡子のほとんどが流れ出るまでまりさは死ねない。
口を金魚鉢の外に出された金魚のようにぱくぱくと動かし、まりさは延々と続く断末魔の苦痛から逃れようとしている。

「お゙っ……ごぉっ……ぶぉ…………ぐり゙ゅ………ぢぃ…………お゙っ………お゙っ…………」

電信柱の陰で一匹の赤れいむが弱々しく震えていた。
近くにはほんの少しだけ雑草がある。きっとどこかで抜いてきた雑草をここで食べたのだろう。
たった一匹で生きていくことよりも、赤れいむは自殺することを選んだ。
なおも「お゙っ……お゙っ……」とれいむは餡子を吐き、もみあげを歩道にぶつけている。

路地裏の暗がりからずりずりと這ってれいむが出てきた。
髪の毛がほとんど抜け、リボンともみあげの片方がない。
カビが生えていそうな饅頭皮を見れば、衰弱して死ぬ寸前なのが一目で分かる。
れいむはおもむろに日なたに出ると、太陽を見上げた。

「あ……ああぁ…………あがぁぁ…………あづいよぉ…………だいようざん………れいぶを……ごのまま……ごろじでねぇ…………」

体を日なたに出して焼け死ぬつもりらしい。
非常に苦しい自殺の方法だが、弱りきったれいむにとって死ぬ方法はこれしかないのだ。
れいむはすべてを諦めきった顔で、じっと日光を浴びている。

「じぬっ!れいぶはじんでゆっぐりぶれいずにいぐううううううう!いぐんだあああああ!」
「あおおおおお!おごおおおお!ごろじでっ!だれでもいいがられぃぶをごろじでねええええ!」
「にんげんざん!にんげんざああああん!ばりざをごろじでぐだざい!あじでふんでゆっぐりじないでずぐにごろじでぐだざい!」
「れいぶもでず!れいぶもいっじょにごろじでぐだざい!ゆっぐりできないんでず!ゆっぐりできないがらじにだいんでず!」
「ばでぃざがざきだよ!ざきにゆっぐりぶれいずにいぐんだよおおおおお!だがらごろじでええええええええ!」

あちこちでゆっくりたちが叫んでいる。
自分を殺してくれ、と誰であろうと頼み込む。
セールスマン。警官。子連れの主婦。ニート。オタク。
老若男女を問わずゆっくりは人間に近づき、殺してくれとお願いする。

「ばりざをごろじでよおおおおおおおおお!」
「ありずもいっじょにじなぜでえええええ!」
「ぱぢぇをえいえんにゆっぐりざぜでぐだざいいいい!」
「れいみゅも!れいみゅもちぬ!ちにゅよおおお!」
「まりちゃもちにたいのじぇ!ころちてほちいのじぇえええ!」
「ありちゅもちんでときゃいはになりゅわあああああああ!」

子ゆっくりや赤ゆっくりでさえも例外ではない。
親が頭を下げている前に飛び出し、先に自分を殺すよう頼む赤ゆっくりがいる。
子ゆっくりがお願いしているのを突き飛ばし、まずは自分を殺すよう要求する親ゆっくりがいる。
仲良くそろって土下座し、人間の関心を引こうと必死な親子ゆっくりがいる。
口々に人間に「死にたいから殺して」と頼んでくるゆっくりはおぞましい。
ほとんどの人間が不気味そうに見てから、なおもすがるゆっくりから逃げるように遠ざかる。
ゆっくりたちは道路に飛び出し、壁にぶつかり、人間に蹴られ、あらゆる方法で死のうとしていた。

「あかちゃん!じゅんばんにころしてあげるからねっ!」
「あかちゃんのためだよっ!すぐにおわるからね!ゆっくり!」

段ボールの巣のすぐ前で凶行が行われていた。
れいむとまりさの番が、四匹のまだ生まれたばかりと思われる赤ゆっくりを追い回していた。
まだろくに喋ることもできない赤れいむが、地面の小石につまづいてころんと転がった。
それにまりさが飛びかかる。

「ゆーっ!おあーあん!おおーあん!ゆびゅっ!」

両親に助けを求めつつ、赤れいむは両親の片方であるまりさの下敷きになってあっさりと息絶えた。
ピュッとまだとろとろの餡子が飛び散った。

「ゆっくりできたよね!おちびちゃん!つぎだよ!」

顔に点々と返り餡を浴びたまりさが、固まって震えていた他の赤ゆっくりたちに向き直る。

「ゆーっ!」
「ゆーうー!」
「ゆあー!ゆあーあ!」

赤ゆっくりたちはしーしーをちょろちょろと漏らして我先に逃げる。
ぴょんぴょんと、まだおぼつかない足取りで跳ねるしかない。
わけの分からない恐怖で怯えた顔は、優しかったお父さんとお母さんがどうしてこうなったのか分からないと訴えていた。

「にげちゃだめだよ!にげたらゆっくりできなくなるからね!ゆっぐりぃ!」

次はれいむの番だった。
一番体力がない恐らく末っ子の赤まりさにれいむは襲いかかる。

「ゆぴぃー…ゆぴぃー……ぴゅびゅっ!」

息切れを起こしてふらふらになっている赤まりさは、振り返る暇もなくれいむのボディプレスの餌食になった。
あまりにも小さな帽子が風に吹かれて飛んでいく。

「ゆーっ!ゆあー!ゆあー!ゆああー!」

ぐちゃぐちゃの末っ子まりさに、姉の赤まりさが泣きながらすり寄った。
扁平になった体にすりすりし、小さな舌で懸命に舐めている。

「ゆあー!ゆああー!ゆああー!」

まりさ、まりさ、と言っているのだろうか。
ぽろぽろ涙を流して動かない赤まりさは、れいむの格好の標的だった。

「ゆふっ!すぐにしんじゃってかわいいねっ!あかちゃん、だいじょうぶだよ!ゆっくぢっ!」
「ゆっ?ゆゆーっ!ゆうー!ゆうーっ!ゆびゃぁっ!」

赤まりさは迫り来るれいむに、赤ゆっくりとは思えない歪んだ顔で後ずさった。
その顔は、妹たちを殺す両親にはっきりを敵意を示している。
だが、そんな赤まりさの気持ちなどまったく無視して、れいむは赤まりさを妹たちと同様の餡子の染みに変えた。

「いいこだね!それじゃあさいごのあかちゃんもつぶしてあげるからねっ!」

残されたのは赤れいむ一匹だけだ。
左右かられいむとまりさに追い詰められ、赤れいむはパニックを起こして泣いていた。
しーしーだけでなくうんうんまで漏らして、赤れいむはなおも両親に訴えかける。

「ゆうー!ゆうー!ゆううぅ!おあーあん!おおーあん!おあーああん!おおーあぁん!」

おかあさん、おとうさんという呼びかけ。
ゆうー、ゆうー、という赤ゆっくりが親に助けを求める声。
そのどちらもが、これから赤れいむを殺そうというれいむとまりさに向けられていたのは皮肉だった。
わけが分からず、ただ死にたくない一心で赤れいむは命乞いをする。
運が悪いことに、この赤ゆっくりたちは自殺を望む八割の野良ゆっくりに含まれていなかったのだ。

「なかないでね!ゆっくり!」
「おあーあぶぇぼっ!」

しかし、れいむとまりさは八割のゆっくりだった。
家族と一緒に死んで、天国のゆっくりプレイスに行こうと遺伝餡によって操作されたゆっくりだったのだ。
懸命の呼びかけにもかかわらず、赤れいむは最愛の両親によって最高の恐怖を味わいつつ死んだ。
残されたのは、子殺しの大罪を犯したれいむとまりさだけだった。

「あ……ああ…しんじゃったよ……あかちゃん……みんなれいむたちがころしちゃったよ…………」
「あああ……ああああ……まりさたち……だいじなあかちゃんを……ころしたんだよぉ…………」

憑き物が落ちたかのように、二匹は呆然と自分たちの凶行の結果を見つめていた。
地面に散らばる赤ちゃんたちの帽子やリボン。
よく見れば、小さな白い歯や丸い目玉もそこかしこに転がっていた。
自分たちがやったのだ。かわいい我が子を、自分たちの手で殺したのだ。

「れいぶうううううううう!ゆっぐりざぜであげるよおおおおお!」
「ばりざああああああああ!ごべんねえええええええええええっ!」

二匹は再び般若のような形相になって、互いに体当たりを始めた。
自分たちの所業があまりにもおぞましくて、もはや直視に耐えなかったのだ。
こんな罪の意識に潰されながら生きているなんて嫌だ。一刻も早く死にたい。
きっとそう思っているだろう。
二匹はお互いをなるべく早く殺そうと、必死になって体当たりを繰り返す。
しばらくばんばんとぶつかっていたが、埒があかないと分かったのか二匹は口に木の枝をくわえた。

「あがああ!いだいっ!ごろじでっ!ごろぢでっ!ゆっぐぢじなびではやぐごぼぢぶぇ!」
「うがあああああ!じねっ!じねっ!じねっ!ゆっぐりじないでじんでねええええええ!」

必死になってれいむとまりさは自分の番を滅多刺しにする。
奇声を張り上げ、れいむはまりさの目を抉り、眼窩に枝を突き刺してかき回す。
一方まりさも、手当たり次第にれいむの顔に枝を刺しまくる。

「ぎゅげげげげげげげげっ!げげっ!ゆげがががっ!!」

方法としてはれいむの方が優れていた。
まりさの眼窩奥深くに差し込まれていた木の枝は、中枢餡を偶然貫いたようだ。
まりさは壊れた機械のように不気味に痙攣した後、がくんと地面に突っ伏した。
れいむは子どもだけでは飽き足りず、番まで殺したのだ。

「ばびぎゃああああああああああ!ばりざ!ばりざばりざばびじゃああああああ!でいぶもじぬよお!じぬ゙ゔゔゔゔゔゔ!」

れいむは今までで最高の悲鳴を上げると、まりさに突き刺した枝に自分も体当たりした。
右目を串刺しにして、れいむにも木の枝が突き刺さる。

「ゆ゙っっぎぃや゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!いだいっ!いだいいいいいいい!じにだいっ!じねない!じねないい!ゆっぐりじねないいいいいいいいいい!」

木の枝が短かったことが不幸だった。
ぎりぎりで中枢餡を貫くことなく、しかし一部だけ壊したのだろう
れいむはびくんびくんと出鱈目な方向に体を動かしているが、震えているだけで枝を抜くことができない。
恐らく体の自由が利かなくなったのだ。
れいむはあまりの苦痛に絶叫するが、もう一度さらに深く枝を差し込むこともできない。
待ち望んだ死が訪れるまで、あとどれだけれいむは苦しまなければならないのだろう。

「だず……げ…で……ぐだざい…………ありず……ゆっぐり……じだいんでず…………」

俺は後ろからゆっくりの声が聞こえてきたので振り返った。
弱り切ったありすが、汚い路地裏から這い出してきた。
二匹の赤ゆっくりを連れている。
俺はそのありすと赤ゆっくりに見覚えがあった。
忘れられるわけがない。

「ぶびょーぢぇ!……ぶりぶびぃいいい!」
「……ゆぎぇべべー!…………べぼぼゆっぶ!」
「ごんな……ぐぞゆっぐりが……いるがら…ありず……ゆっぐりできないんでず………だれでもいいがら……ごいづら……ごろじで……」

我が子への嫌悪で醜く歪んだ顔。
親の怨念などどこ吹く風で、意味不明の鳴き声をまき散らしながら跳ねる異常なゆっくり。
あの時のありす親子だった。
結局、子どもを人間に押しつけることはできなかったようだ。

「ありずは……ゆっぐりじだい……じにだぐない……もっど……もっどもっどもっどもっど……ゆっぐりじだがっだぁぁぁ…………!」

周りのゆっくりが死を願う中、ありすは「死にたくない」と言った。
ここまでやせ衰え、無様になってもなお、ありすは自殺する八割のゆっくりにはならなかったのだ。
「ゆっくりしたい」という共通の強い願いを通じて、遺伝餡はゆっくりに変化をもたらす。
でも、その変化の度合いはゆっくりによって違うのだろう。
街のゆっくりが太陽を恐れていたけれど、高級住宅地のゆっくりはまだ外に出られた。
このありすが生んだ赤ゆっくりは異常なゆっくりだったけれど、ほかのゆっくりの赤ゆっくりは正常だった。
退化したからといって、一律全部のゆっくりが自殺はしないのだ。

「べぢぇー!ぢゃばばゆっ!………………ゆっぼー!」
「ぶびびゆっ!……………………ゆぶぢっ!ゆぶぢっ!」
「おばえらなんが……じねぇ………ぐるじんで…ぐるじんで……じねええ…………ありずをゆっぐりざぜないぐぞゆっぐりは……じねぇ………」

なおも不気味に動く赤ゆっくりを、ありすは罵る。
その口調は、親ゆっくりとはとても思えないほど、我が子への恨みと憎しみで濁りきっていた。
だが、もはやありすは瀕死だ。
いくら死にたくないと口で訴えても、か弱いゆっくりにもはや生きる場所はない。
しぶとくゆっくりにしがみつくありすの側に、カラスが舞い降りた。

「だずげで……だずげで………おぢびぢゃん……ままが…ごまっでるのよ………どぼじで……だずげで……ぐれないのぉ………」

カタツムリと同レベルのスピードでしか逃げられないありすは、カラスにとって格好の標的だ。
ツルハシのような嘴によって、ありすの皮が破けてカスタードが流れ出す。
ありすの口から、先程までの悪罵など忘れた懇願が聞こえる。

「びぢぃ!びっぢゃ!ぶっぼ!ぼぼぼぇ!」
「あぴゃぴゅー!ゆげぴっ!ばぇーば!」

子ゆっくりにそれが届くはずがない。
親が生きたまま少しずつ殺されていくのをよそに、二匹の異常なゆっくりは奇声を上げてその場で転げ回る。
すべてに絶望したありすの目から、カスタード混じりの涙がこぼれた。

「ありず……なんのだめに……うばれだのぉ…ごんなふうに…じぬなら……どうじでゆっぐりなんがに……うばれだのよぉ………」

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