anko2171 よわいものいじめはゆっくりできないよ!(後編-2)

Last-modified: Wed, 20 Jul 2016 03:59:41 JST (2836d)
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anko2170 よわいものいじめはゆっくりできないよ!(後編-1)

「むきゅう………にんげんさん、ぱちゅたちになんのようかしら?」

警戒心をあらわに、ぱちゅりーはそのお兄さんと向かい合った。
群れのゆっくり達は、怯えた表情で群れ長のぱちゅりーの背後に下がり、成り行きを見守っている。

突然群れを訪ねてきたそのお兄さんは、背中に大きなリュックを抱えてぱちゅりー達を睥睨していた。
その表情がゆっくりしているかどうか、にわかに判別はつかない。
わからないものはまず警戒すべきだ、それがわかる程度にはぱちゅりーは賢い。
かといって、相手は人間さん。警戒したところで対処しきれる相手ではない。
仮に、百匹以上を数えるこの群れ全員で挑んだところで、
このお兄さん一人に苦もなく殲滅させられるだろう。

「おにいさん、ぱちゅたちはなにもわるいことはしていないわ。
にんげんさんのすんでいるところにはちかづいたこともないし……
にんげんさんになにかめいっわくっをかけたならあやまるわ」

とにかく下手に出て、機嫌を損ねないようにする。
人間さんにとれる対策といえばそれぐらいしかない。
ともすればクリームを吐いてしまいそうなこの緊張感を、ぱちゅりーは長としての資質と矜持で耐え抜いていた。

お兄さんはぱちゅりーの前に屈みこみ、笑みを浮かべた。

「そんなに怯えなくていいよ、ぱちゅりー。
僕は君たちの群れにゆっくりできないことをしにきたわけじゃないんだ」
「むきゅう?」
「僕がここまでやってきたのはね、聞いてほしい頼みがあるからなんだ。
僕のお願いを聞いて、僕をゆっくりさせてくれたなら、
お返しに君たちをゆっくりさせてあげたい」
「むきゅ………おにいさん、ぱちゅたちはぱちゅたちでゆっくりできているわ」

ぱちゅりーは警戒を解かない。
人間の口車に乗ってゆっくりできなくなった仲間は数知れず、
ゆっくりとしては長く生きてきたぱちゅりーはその実体験から慎重になっていた。

「そうかい?たとえば、いつもこんなものを食べているかな?」

そう言うと、お兄さんはポケットの中から数枚のクッキーを取り出してぱちゅりー達の前にばらまいた。

「むきゅっ!?」
「ゆゆっ!!あまあまだよ!!あまあまがあるよっ!!」
「あまあま!!あまあまたべたい!!たべさせてね!!ゆっくりたべるよ!!」

ぱちゅりーの背後に引っ込んでいた群れのゆっくり達が勢い込んで前に出てくる。
ぱちゅりーはそれを強く制した。

「むきゅ、やめなさい!!にんげんさんのおはなしをきいてからよ!!」
「ゆううううぅぅ!!たべたい!!たべたい!!たべたいよおおぉ!!」
「いいよ、これはほんの挨拶だから。遠慮しないで食べてくれ」
「で、でも……」
「いいっていったよ!!にんげんさんがいいっていったよ!!これはれいむのものだよ!!」
「なにいってるのぜぇ!?まりささまのものなのぜぇ!!ゆっくりどくんだぜぇぇ!!」
「ゆっくり!!ゆっくり!!むーじゃ!!むーじゃあぁ!!」

たった数枚のクッキーに、群れの三割ほどの意地汚い数十人が群がり、
もぞもぞと押し合い舌を絡ませ合い蠢きながら涎を撒き散らして奪い合った。

「むきゅううぅ………」
「そんなに残念がらなくても、おかわりのあまあまは沢山あるよ、ぱちゅりー」
「むきゅ、にんげんさん、そういうことじゃなくて」
「ゆゆっ!!おかわり!!あまあまちょうだいね!!れいむにあまあまちょうだいね!!おかわりおかわりいいぃぃ!!」
「とかいはなあまあま!!ありすがたべてあげてもいいのよっ!?いいのよおおおぉぉはやくううぅぅ!!!」
「まりささまにあまあまよこすのぜぇぇ!!」

群れの醜態に、ぱちゅりーは眉間に深い皺を寄せる。
あまあまはいけない。あまあまはゆっくりの理性を狂わせ、分別を失わせる。
といって人間さん相手に強い拒絶を示してはあとが怖い。
あまあまの味を知ったこの数十匹をあとあとどう処置するか、頭が痛かった。

「もっと欲しいなら、僕の頼みを聞いてくれるかな?」
「むきゅ、でも」
「おさはきいてくれるよっ!!にんげんさん、なんでもいってね!!あまあまちょうだいねっ!!」
「きくよね!?おさ!!おにいさんのたのみきくよねええ!!あまあまもらおうねええぇぇ!!」

もはや殺意に近い、ぎらつく群れの視線に目を伏せ、ぱちゅりーは観念して答えた。

「……どんなおねがいかしら、にんげんさん」
「うん、簡単なことだ。僕の大事なゆっくり達を、群れに迎え入れてほしいんだ」
「むきゅっ?」
「まりさとれいむ、子供が八匹。合計十匹の仲よし一家さ。
都会で会って仲良くなってね、都会の暮らしは辛いから山の群れに行ってゆっくりしたいと言うんだ。
だから僕がここまで連れてくることにしたんだけど、群れの仲間として迎え入れてくれるかな?」
「………」

そんなものは、その一家の質による。
ゲスゆっくりを群れに入れたりしたら、たちまち被害を撒き散らすだろう。
ぱちゅりーの見立てでは、八匹という子供の多さからみて、
後先考えずにすっきりをする考えなしの厄介者、という公算が高かった。

「そして、迎え入れたからには、きちんと群れで面倒を見てやってほしいんだ。
絶対に死なせたりしないでくれ。
僕は定期的にここに来て、友達の様子を見にくるからね。
もし一匹でも死んだりしていたら、僕は怒るよ。その子が死ぬ原因を作ったゆっくりを突き止めて制裁する」
「そ、そんな……むきゅうぅ………」
「でも、生きているなら……
そう、生きていてさえいるなら、僕は嬉しい。
生かしてくれていた君たちに感謝して、確認するたびに沢山のあまあまをあげよう」
「ゆゆっ!!あまあま!!あまあまだよおぉ!!」
「おさ!!こんなうまいはなしはないのぜ!!むかえいれるのぜぇぇ!!」

あまあまの言葉が飛び出すたびにがなり立てる連中は、群れでもどちらかといえば無能なほうだ。
どうせ、人間さんのゆっくりが死んでも、長である自分に責任をなすりつけてくるだけだろう。
過去にそう感じた回数は数えきれないが、
ぱちゅりーは今また、群れの長になったことを後悔していた。

ぱちゅりーの苦悩を察したのだろうか?
お兄さんは、念を押すように繰り返してきた。

「いいかい、繰り返すけど、生きてさえいればいい。
生きていてさえいれば文句はないんだよ。
僕の友達といっても、ゆっくりできないことをしたら、君たちのルールでせいっさいっして構わない。
群れのルールは大事だからね。群れに対してゆっくりできないことをするようなら、
僕に気兼ねしたりしないで、遠慮なくびしびしいっていいんだよ。死にさえしなければいいんだから」
「むきゅ、そ、そう?」
「そうだとも。さあ、僕の頼みを聞いてくれるね?」
「…………」

ぱちゅりーが渋っていると、お兄さんはリュックの中から大きな袋を取り出し、
その中身を群れの前にぶち撒けた。

「むきゅっ……………!!」
「ゆああああああああああまあまあああああああああ!!!」
「れいむの!!れいむの!!れいむの!!れいむのだよおおぉぉ!!!」
「まりしゃがたべりゅよっ!!じゃまちにゃいでにぇえぇぇ!!」

小山のように積み上がる大量のあまあまを前に、いまや群れの全員が突進する。
それらを手で制し、お兄さんがぱちゅりーに促した。

「さあ、どうだい。引き受けてくれないなら、僕はおとなしく帰ろう。
残念だけど、このあまあまも持ち帰るしかないけれどね」
「「「「「お゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!!」」」」」

もはや明確な殺意をはらみ、群れのゆっくり達の視線がぱちゅりーを射抜く。
ぱちゅりーは目を閉じ、こみ上げてくる嘔吐感と戦いながら、やっとのことで答えた。

「………わかったわ、にんげんさん………ゆぷぅ」
「ありがとう!ゆっくりした君たちならそう言ってくれると思っていたよ」

口々にわめきながらあまあまに突進しようとするゆっくり達をなお制して、お兄さんはリュックの口をこちらに向けた。

「あまあまの前に、僕の友達に挨拶しておくれ。
さあ、まりさ、れいむ。君たちを迎え入れてくれる、やさしいみんなにご挨拶をしようね」

リュックの中から、群れの新入り達が、
苛立たしいほど緩慢な動作で、群れの前にその姿を現した。

―――――――

「ごしゅじんさま、おきてください、ごしゅじんさま」
「ゆゆっ!おにいさんおきてねっ!あたらしいあさだよっ!!きぼうのあさだよ~ゆ~ゆ~♪」
「はいはい、ゆっくりゆっくり……おい、歌をやめろ」
「どぼじでぞんなごどいうのおぉぉ」

さくやとれいむが僕の布団の上で飛び跳ね、起床をうながす。

ゆっくりさくやは、従順なように見えて頑固なところがあり、僕が起きるまでてこでも布団の上から動かない。
飾りのないれいむの聞くに堪えない歌をやめさせるためにも、僕はさっさと起きる。

「ゆっくりおはようございます」「ゆっくりおはよう!」
「ああ、おはよう」

布団から起き出し、居間に向かうと、そこでもゆっくり達に出迎えられる。

「じゃーおーん♪」
「あさだち!むせい!おきぬけのいっぱつ!」
「うー♪あさごはんだっどぅー」
「おはよう、おにいさん!とかいはなあさね!」

れみりゃがぱたぱたと羽ばたき、口に食パン入りの袋をくわえて飛んでくる。
唯一飛べるれみりゃは、高いところに手が届くので、意外と一番役に立つ。
冷蔵庫を開けて食パンやバターを持ってくる、皿を並べるなど朝飯前だ。
さすがに、食パンをトースターに入れて焼くのは僕だが。

飼いゆっくり達のそれぞれ個別の皿に、ゆっくりフードを盛り付けてやった後、
簡単なベーコンつき目玉焼きを作り、作り置きの味噌汁と合わせて食卓につく。
僕が食卓について挨拶をするまで、全員がフードに手をつけずに待っている。

「いただきます」
「「「「「「ゆっくりいただきます!!(じゃおーん!)(でぃーぷふぇら!)」」」」」」

食事をしながら、我が家の飼いゆっくり達をひとしきり見渡す。

そもそもは、復讐のためだけにショップや街角で集めてきたゆっくり達。
目的を果たして頭が冷えると、処分に困った。
紆余曲折はあったが、結局、全員普通に飼っている。

れみりゃは、すっかり周りのゆっくりと打ち解けていた。
正直躾けるのにはかなり手間取ったが、いまでは飛行できるアドバンテージを生かし、
我が家のゆっくりファミリーになくてはならない存在だ。

さくやもめーりんもみょんも、それぞれ行儀よく飼われている。
赤ゆっくりだっためーりん達も、一か月たった今ではバレーボール大の準成体だ。
めーりん種は言葉のつたなさと気立ての優しさゆえに野良では虐められるのだが、
その実、ゆっくりの中でも非常に賢くて身体能力が高いことは人間にとっては常識だ。
犬猫を思えば、言葉が話せないことは全く問題ではない。むしろそれが利点だという意見も多い。
みょん種はその独特の言語のおかげで、実際敬遠されがちなのだが。

飾りのないれいむは、賢さや性能面から見れば、正直他の連中とはかなり見劣りする。
とはいえ、ずっと飾りのない野良生活を送ってきて、家族というものの有難さをよく理解しているせいか、
賢くないなりに懸命に周囲に気を配ろうとしているところがあり、なんとも憎めないムードメーカーになっていた。

未熟児のゆっくりは、やはり生体としての構成の不完全さはいかんともしがたく、二週間もたずに死んでしまった。
自然死だったようだが、れいむとありすが特に嘆いていたものだ。

レイパー気質だったありすは、元気に飛び跳ねている。
レイパー気質をどうにかしようとしていろいろ努力しつつも効果はあがらなかったが、
結局、去勢することで憑き物が落ちたようにおとなしくなった。
むしろかなり賢く、さくやと並んでゆっくり達のまとめ役を任じているふしさえある。
子供が作れなくなったことの傷は決して浅くはないだろうが、その分気を配ってやっているつもりだ。
どうしてもあの子の顔がちらつき、ありす種に対しては甘くなってしまう。

衝動で飼ってしまった総勢六匹のゆっくり達だが、充分に僕をゆっくりさせてくれていた。
やはり僕は、ゆっくりが好きだ。

「それじゃ、出かけてくるよ」
「「「「「ゆっくりいってらっしゃい!」」」」」

リュックを抱えて、さくやを伴い、週末のお楽しみに出かける。
ゆっくり達が笑顔で出送ってくれる中で、車の助手席に鎮座するさくやだけが複雑な表情でいた。
僕がどこに行き、何をしてくるのか、我が家の中で彼女と僕だけが知っている。

さくやは従順だったが、どこか冷めたところがあった。
そして、他種のゆっくりを見下しているようだった。
かつて二匹の赤ゆっくりの奴隷になるよう指示したとき、
赤ゆっくりの命令に従いながら、その瞳に宿る深い侮蔑に、僕はぞっとしたものだ。
僕と二人きりになるたびに、「あんなくず、つぶしてしまえばいいでしょう」と言ってきた。
そういう気質だと、あのまりさ達と同じ、他のゆっくりを虐めるゆっくりになってしまう。
それを危惧した僕は、あの一家のなれの果てをさくやだけには見せている。

「こんしゅうもいくんですか、おにいさん」
「ああ、行くとも。嫌かい?」
「…………いいえ」

ありすが死んだあの山に、今週もやってきた。
あの山のゆっくりの群れは、今日もゆっくりしていることだろう。

砂利と草を踏みしめ、通いなれた道を通る。
すぐに、狩りの途中で飛び跳ねているれいむが見つかる。

「ゆっ!!おにいさんっ!!ゆっくりしていってねっ!!」
「ああ、ゆっくりしていってね」
「あまあまがきたよおおぉ!!みんなあつまってねえぇ!!」

叫びながらさっさと跳ねていくれいむ。
毎回この調子で、すぐに群れは森の広場に集まってくれる。

群れに囲まれながら、ぱちゅりーが元気に挨拶をしてくれた。

「むきゅ、おにいさん!ゆっくりしていってね!!」
「ああ、ゆっくりしていってね」
「あのこたちはきょうもげんきにいきてるわ!あまあまをちょうだい!」
「あまあま!!あまあま!!あまあまちょうだいね!!」
「まあ焦らないで、まずは確認してからだよ」
「むきゅ、こっちにどうぞ!」

ぱちゅりーの後につき、僕とさくやは川べりの岩場に歩いていく。
その後を、涎を垂らした群れがぞろぞろとついてくる。

岩場の壁面に、川に面して大きくへこんだ洞窟状の空間。
そこにあの一家はいた。
すっかり大きくなった子ゆっくり達を含め、十匹が欠けることなく揃っている。

「むきゅ、ごらんのとおりよ。いっぴきもえいえんにゆっくりさせていないわ」
「うんうん、さすがだね。ありがとう」
「ゆゆっ!!おにいさんだよ!!あまあま!!はやくあまあまぁ!!」

洞窟の奥で十匹に群がっていたゆっくり共が、涎を撒き散らしながらこちらに向かってきた。

「ああ、今週の分のあまあまだ。たっぷり食べていってね!」

そう言い、リュックから大量のクッキーやチョコレートを地面にぶち撒ける。
長のぱちゅりーを始め、はふはふうめうめ言いながらゆっくり共が群がり寄る。

僕とさくやは洞窟の奥に進み、一家と対面した。

「やあ、みんな。ゆっくりできているかな?」
「ゆ゛………ぶ…………おぼっ…………」
「おびっ、おに゛………おに、いざっ……………」
「ゆぐじっ、ゆっぐ…………じだ……ぃぃ」
「……お、でが………ごろっ、ごろ………じでぇぇぇ…………」

岩壁に、一家が数匹ごとに間隔を開けて縛り付けられている。

二匹の子ゆっくり(といっても、もう全員がバレーボール大になっているが)が、
ロープで仰向けに縛り付けられ、フックで口を限界まで開かされている。
最初に家族に虐められた、あの子まりさと末っ子れいむだ。

「おごぉ………ぼ………ぶぼぉ…………」
「ゆぶう゛う゛う゛う゛う゛、ぼぶう゛う゛う゛う゛」

どちらも両方の目を抉り出されていたが、
僕の来訪を感じ取っているらしく、呻き声をあげながらちぎれかけのもみあげを弱弱しく振る。
口の中にみっしりと詰められている内容物のせいで喋れず、傷だらけの舌が先だけ出してへろへろと弱弱しく踊る。
言いたいことはわかりきっている。「助けて」「殺して」。むろん、どちらも叶えてやる気はない。

「ゆっ、ゆっ、おちびちゃん、うんうんはここでしようね!!」
「きゃわいいれいみゅのしゅーぱーうんうんたいみゅだよっ!!うんうんでりゅっ!!(モリッモリッ)」
「ゆわあぁ!!まだしないでねぇ!!ちょっとまってねぇぇ!!」

赤ゆっくりを頭に載せながら、れいむが跳ねてくる。
縛られている子ゆっくりの丁度眉間のあたりに子供を乗せると、れいむは促した。

「さあ、ここでうんうんしてね!!」
「うんうんちゅっきりー!!(モリュリュン)」
「ゆ゛ぶう゛う゛う゛ぅ………」

口内に新しいうんうんをひり出され、子まりさが屈辱と悪臭にぶるぶる震える。
脱糞した直後、赤ゆっくりがすぐに泣き喚く。

「ゆぴぇええん!!くちゃいよおおぉぉ!!」
「ゆぅ……うんうんつまりすぎだよっ!!おちびちゃんがゆっくりできないでしょ!!
おといれさんはさっさとうんうんかたずけてね!!すぐでいいよっ!!」
「ゆぼっ!!ぼぼぉぉ!!」

口の中に詰まっているうんうんの固まりを呑みこませようと、れいむがおといれゆっくりに体当たりをする。
そのたびに呻き、むせ返りながら、必死にうんうんを呑みこもうとしてびくびくと跳ねる子ゆっくり達。
体中に刻まれた傷痕の中に、今回も新しい生傷が見受けられる。
逆らったりしようものならただちに制裁されるのだ。

足を運び、次の三匹のところへ向かう。

「んほおおおぉぉぉ!!ごみくずまむまむいいわあああぁぁぁ!!」
「ゆぶぐうううぅ!!やべで!!いやあああぁぁずっぎりじだぐだいいいぃぃ!!」
「とかいはなあいをそそぎこんであげるわねえええぇぇえぇすっきりいいいぃぃぃ!!」
「「ずっぎりいいぃぃ!!!」」

こちらの三匹はやはり縛り付けられ、まむまむとあにゃるを突き出した状態で固定されている。
そのまむまむにありす種が一匹ずつ取りついて腰を振っていた。

今、精子餡を注ぎこまれたれいむの腹が膨れ、二匹のまりさの方は植物型で頭から茎が生えている。
れいむの茎のほうはありすが折り取り、むしゃむしゃと咀嚼し、飲み下してしまった。

「むーしゃむーしゃ、それなりー!!」
「ばり、ばりざのあがじゃあああああ……………」
「んもうっ!こんなとかいはなあいをわけあたえてあげてるのに、なくなんてとかいはじゃないわ!!
さあ、だいにらうんどよおおおおんっほおおおお!!」
「やべで!!やべでええぇ!!にんげんざん!!おにいざんだずげでえええぇぇ!!」

助けを求めてくるが、僕は答えない。
三匹のありすはさんざんにすっきりを繰り返し、植物型妊娠で生まれた子供を食べ尽くしてしまうと、
帰りがけに僕に挨拶してから行ってしまった。

この三匹のありすは、別にレイパーではない。予備軍ではあるが。
レイパーであったら群れにはいられない。
ありす種特有の強烈な性衝動を持て余した個体がここにやってきてすっきりをし、レイパーにならないように発散しているのだ。
ありす種に限らず、性欲処理のためにここにやってくるゆっくりは多い。
特にすっきり制限が課される冬籠り直前の時期は混雑が予想された。

並はずれて性欲の強い生き物であるゆっくりにとって、性衝動にからむトラブルは多い。
そのトラブルが、この性処理用ゆっくりの設置で驚くほど減少したと、長のぱちゅりーが喜んでいた。

次の三匹。

「ゆぢぢぢ!!ぢぢぃ!!ばっびびぃぃ!!ぢーっ!!」
「きゃわいいれいみゅのうんうんをかたじゅけさしぇてあげりゅよ!!こうえいにおもっちぇにぇ!!」
「ぴょぴょぴょ!ちーっ!!ちーっちーっ!!ゆぎゅじっ!!」
「しゃっしゃとまりしゃしゃまをゆっくちさしぇりょおおぉぉ!!ごみくじゅううぅ!!」
「ゆ゛ひぃ…………あ゛ひぃ…………
おで、が……やずばぜでぐだじゃい………ぼう、ぼう、みっがも……ねでないんでずぅ……」
「ゆはあああああああぁぁぁぁ!!!!?にゃにいっちぇるにょおおおぉぉ!!?ばきゃなの?しにゅの!?」
「おみゃえみちゃいにゃごみくじゅにやしゅみなんちぇあるとおもっちぇるにょおおおぉぉ!!?」
「ぢぢぃ!!びぃ!!ゆぢぢーっぢーっ!!ぽびぇえぇ!!」
「あ、ああぁ………おちび、ちゃ……うんうんしちゃだべぇぇ………」

岩壁の一角に、プラスチック製の柵で仕切られた空間。
その中で、三匹の子ゆっくりが、数十匹の赤ゆっくりに囲まれて右往左往している。

群れの「ほいくじょ」の管理を、この三匹は任されている。
とはいえ、可愛い子供を、飾りのないゴミクズに預けるゆっくりなどいない。
飾りがなかったりどこかが足りない状態で生まれた未熟児や、
ゲス気質を現した子ゆっくりが、すべてこの「ほいくじょ」に預けられるのだ。

多産のゆっくりは、未熟児を産み落としたり、子育てに失敗してゲスにしてしまうことが多い。
忍耐力のないゆっくりは、たとえ我が子でも、そんな出来損ないはさっさと処分したがるものだ。
しかし、ほとんどの群れでは、「ゆっくりごろしはゆっくりできない」という掟があり、
殺すことはタブーとなっており、それを破ればゆっくりできない制裁が待っている。
そのため、嫌々ながら未熟児やゲスを育てるのが通例だったが、
ここでは、そういう厄介者はすべて「ほいくじょ」に預けられることになった。

実質捨て子なのだが、名目上は、子育てをサポートする施設である。
そして、ここで子ゆっくりが傷つけられたり死んだりしようものなら、
その責任はすべてほいくじょの管理者、この三匹に負わされることになる。

「あみゃあみゃよこしぇ!!ごみくじゅ!!」
「いだいっ!やべ、やべでねぇ……!」
「はああああぁ!!?いみゃれいみゅにめいりぇいしちゃにょおおぉ!!?
ごみくじゅが!!こにょこうきでうちゅくちいれいみゅに!!めいりぇいしちゃにょおおお!!?」
「がまないでええぇ!!ゆぐううぅぅ!!あ゛ーっ!!あ゛あ゛ーーっ!!」

三匹は、数十匹に上る赤ゆっくり共に常時全身を噛まれている状態だ。
しかし、逆らったりしようものなら群れからの制裁が行われる。
子ゆっくりを傷つけず、つねに攻撃されながら世話しなければならない。

常にあちこちで、赤ゆっくりが眠れないだのお腹がすいただの泣き喚く。
そのたびに必死でぺーろぺーろしてなだめようとするが、
自尊心だけは例外なく始皇帝レベルの赤ゆっくり共は、飾りのないゴミクズに慰められることをよしとせず、
逆に舌に噛みつき返し、それによって憂さを晴らす。
それが三匹の子育てだった。

こちらの赤ゆっくりが眠れば、あちらの赤ゆっくりが起きだして叫ぶ。
朝から晩まで休みなしの無間地獄だった。
涙を流し涎をこぼし、ゆひいゆひい呻きながら這いまわる三匹の表情は疲労困憊を通り越し、もはや死相といっていい。

そこまでしても、赤ゆっくりは実にたやすく死ぬ。
たった三匹で百匹近くの面倒を見ることなどできるはずもなく、
狭い空間で他の赤ゆっくりに押しつぶされたりいじめ殺されたり、未熟児ゆえの自然死もあり、
赤ゆっくりは毎日しょっちゅう死んでいる。
そしてそのたびに、しっかりとチェックしている親たちになじられ、三匹は群れから制裁を受ける。

「ゆ゛っ……ゆ゛っぐ………ゆっぐじ、じだいいいぃぃ…………」

泣きじゃくりながら、子ゆっくりは赤ゆっくり共の食糧を調達するために、
やや離れたところに縛られた両親のところへ這いずってゆく。

その後について、両親のところへ向かう。

仰向けの状態で拘束されたまりさとれいむの夫婦は、近づいてくるわが子の姿を認めて弱弱しく首を振っていた。

「やべで………やべでぇ…………れい、むぅぅぅ……」
「おでがい………ゆぐじで…………ぼう、いやあぁ」
「いだいの……ぼんどに………いだいいのおおおお」
「ゆぐっ………ゆぐっ………ごべんで……ごべんでぇぇ………」

仰向けの夫婦は、その腹に、縦に裂かれてできた大きな傷があった。
そして頭と尻にフックをつけられ、岩壁の上部から吊り下げられて、腰のところで折り曲がった状態だ。
腹の傷はなかばふさがりかけていたが、
ほいく係の子れいむがまりさの傷口に口を近づけると、ぶりんぶりんと尻を振って抵抗しだした。

「やべでぇ……!おでがいいぃ………いだいの、いやあぁぁ……!!」
「ごべんで……ごべんで………あがぢゃんの、ごばんざん………だがら………
あがぢゃん、ぞだでだいど……でいぶが、でいぶが、ぜいっざいっざれるんだよぉぉ………」
「やだよおぉ!!ぼういやあぁぁ!!ゆっぐじでぎだい!!ゆっぐじじだいいいぃぃいぎゃあああぁぁ!!」

ブチブチブチ……

癒えかけていた腹の傷を、子れいむが口に咥えて引きちぎる。
激痛に絶叫し身をよじるまりさの腹をこじ開け、露出した餡子を舌ですくいあげる。

「あごっ!!おごっゆぼぼっ!!ゆぶっ!!あがっばっゆがががががが!!」
「ごべんで……ごべんで……べーろ、べーろ…………」
「いぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃあああああぁぁぁゆがばあああああ!!!」

内臓をほじくり出される痛みに、口から餡子を吐き出して悶絶するまりさ。
しかし、傷口を巧みに上に向けられているために、中の餡子が必要以上に漏れだすことはない。
「中枢餡が破壊される」「体内の餡子を三分の二以上失う」、この二つのどちらかの条件が満たされないかぎり、
ゆっくりというものは驚くほどの耐久力を見せ、なかなか死なない。
傷口を上に向けてこぼれないようにする、たったこれだけで、定期的に餡子を取り出せる便利な食糧庫が完成する。
そしてその中身は、日々与えられる想像を絶する苦痛によって甘くなりきった餡子だ。
赤ゆっくり達の食糧のみならず、
この三匹の餡子は、群れのゆっくり達にも愛好されていた。
そんなにすぐには補充されず、一度に供給できる量には限りがあるので、
定期的に行われる群れの集会において、特別ゆっくりできることをしたゆっくりにのみ、
褒美として群れの長から分け与えられることになる。
その餡子が食べたいばかりに、群れのゆっくりは掟を守り、この群れは実に順調に運営できているようだった。

ある程度まりさの餡子を掻きだすと、子れいむは母親のもとへと這いずっていく。
次の食糧庫れいむが甲高い歌を奏ではじめた。

この十匹の体には、それぞれ岩壁上部に備え付けられたタンクから伸びたコードが繋がっている。
タンクの中身は、群れには「生命維持のためのゆっくりできない薬」と伝えてあるが、
要するにオレンジジュースである。
点滴の容器を応用し、少しずつそれぞれの体内に注入され、生命活動を維持するようにしてある。
ゆっくりを味わえない程度に、少しずつ、少しずつだ。

そのタンクにオレンジジュースを補充する。
言うまでもなく、これらの仕掛けを考案、実行したのは僕だ。
ぱちゅりーの要請に応える形で、僕はいろいろ手助けしてやった。

人間からゆっくりを預かるぱちゅりー達は最初、萎縮していたが、
飾りのないゆっくりできないゆっくりだとわかると、さすがに抗議してきた。

「むきゅ、このゆっくりたちはゆっくりできないわ……」
「おかざりのないゆっくりだよ!!ゆっくりできないよ!!」
「こんなごみくずどもがむれにはいっていいとおもってるのかぜぇ!?」
「ゆーっ!でも、いれないとあまあまがもらえないよ……」
「ゆうぅぅぅ……!!でも、こんなやつらのめんどうなんかみたくないよ………」

飾りなしの面倒は見たくない、しかしあまあまは欲しい、
そんなジレンマから眉をしかめるゆっくり共に、僕はさらに念を押した。

「そんなに悩まなくていいんだ。たいした面倒は見なくていい。
生きていれば、いいかい、生きていてさえいれば、あまあまを持ってきてあげるからさ!」

毎週末に、僕はここにやってきて一家の様子をチェックする。

一家は当初から、群れの中では虐げられていたようだった。
露骨に悪罵を浴びせられ除け者にされ、視界に入ったというだけで体当たりをされる。
それでも長のぱちゅりーが、まがりなりにも人間からの預かり物だということで、
群れをなんとか抑えていた。

しかし、僕がやってきて家族の様子を見ても、
生きてさえいれば文句を言わずにあまあまをくれるのを見て、
群れはどんどん増長して、一家に対する虐めをエスカレートさせていった。
そのエスカレートを僕は喜び、ぱちゅりーを褒め称えた。
群れのストレス解消を推奨する、ゆっくりできる群れ長だと。

あとは、ぱちゅりーのアイデアに従い、一家に処置を施した。
岩壁に縛り付け、オレンジジュースの点滴で生命活動を保証し、
ここで虐げられ続ける生活を送ってもらうことになった。
そして三か月、今日もこの家族は元気に苦しみ続けているようだ。

「やあ、みんな、ゆっくり出来ているかい?」

僕が声をかけてやると、家族は泣き咽び、命乞いをする。

「だずげでぐだざい!!だずげでぐだざい!!ぼう、ぼうげんがいでず!!ゆっぐじじだいんでず!!」
「おにいざん!!おにいざぁん!!ごろじで!ぼう、ごろじでよおおぉ!!いやだよおおおぉぉ!!」
「あごっ!!ごぼっ………ゆげっ……!!おで、がいっ……ごろ、じで……」
「ごべんだざい……ごべんだざい………おにいざんごべんだざい………ゆっぐじでぎだいごびぐずでごべんだざい………
あでぃずをごろじでごべんだざい………でいぶも……でいぶも、ごろじで、ごろじでぐだざいいいいぃぃぃ」
「ゆっぐじ、ばんっぜいっじでばず……あでぃずをいじべでぼうじわげありばぜんでじだ……
づぐないばず……いっじょう、づぐないばず……だがら、だがら、だずげで………だずげでぐだざい………」
「うんうん、だからそこで一生償っていってね!」
「「「「ゆ゛んや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」」」」

こいつらの懇願もすっかりワンパターンなルーチンワークになった。
もともとゆっくりのことで貧困な語彙なのだが。

うんうんを咀嚼しながら、空洞となった眼窩から涙を滝のように流してもみあげを振る子ゆっくり。
全身を赤ゆっくりにかじりつかれながら柵にしがみついて懇願する子ゆっくり。
口から餡子を断続的に吐き出しながら、弱弱しい声で命乞いする夫婦。

立ち去ろうと僕が体の向きを変えるだけで、一家はいよいよ必死に体を蠢かせて声を上げる。
毎週の僕の来訪、それだけが一家の希望なのだ。
僕に許してもらい、この地獄から解放してもらおうと、全身全霊をかけて詫び、乞う。
僕は座りこんで、にやにやと笑みを浮かべながら一家を眺める。
絶対に許してはもらえない、自分たちの懇願をせせら笑い楽しんでいる、
それがわかっていながら、それでもなお懇願するしかない一家。
みじめで無様なその姿を、僕はとてもゆっくりした気分で眺め続けていた。

「おでがいじばず……いっじょうの、おでがい、でずぅ………ごろじで……ごろじっ、でぇ……」
「ぼう、いいでじょお……だっぶり、ぐるじんだよおおぉ…………おわびじだよおおぉぉ……
あでぃ、あでぃずだっで………ごんなに、ごんなに、ぐるじんでないばずだよおおぉぉ………!」
「ごびぐずのぶんざいであでぃずをいじべでごべんだざい!!
にんげんざんにばなじがげでごべんだざい!!にんげんざんのじがいにばいっでごべんだざい!!
いぎででごべんだざい!!うばれでぎでごべんだざい!!だがら、だがらごろじでええぇぇ!!じなぜでえええええ!!!」
「ぼういやだよおおおお!!いぎるのいやだよおおおお!!いぢびょうだっでいぎでいだぐないよおおおお!!
じにだいよおおおおおおお!!だんでじだぜでぐれだいどおおおおお!!?
ばりじゃなんでなんのやぐにもだだないのにいいいい!!めいわぐがげるだげでじょおおおおお!!?
だがらじにだいのにっ!!じぬのに!!なんでじぬのをじゃばずるのおおおおおおおおおぉぉぉぉ」
「おにい、ざん………ぼんどうに、ぼんどうに、おでがい、おでがいじばず……じばずがらぁ………
ごろじで、ごろじでぐだざいいぃ………あわれなごびぐずを、どうが、どうが、おでがい、おでがいじばずうぅぅ」
「う~~~~~~~ん………どうしよっかなぁ~~~~~~~~~」

僕は立ち上がり、うんうん首をかしげながらしばし考えたあと、
一家の前で両腕をクロスさせて満面の笑顔で答えてあげた。

「うん、ダメぇ~~~~~~~~~~♪」

悲しみ、絶望、怒り、悔しさ、諦め。
これをやった時のゆっくり達の表情は、何度見てもなんともいえない味わい深さがあるのだった。

―――――――

「さて、あとどれだけもつかな、あいつら」
「………」

帰路、助手席のさくやは黙りこんでいる。

「さっきから塞ぎこんでるな、いつもの事だけど。
どうだ、さくや、ゆっくりできたか?」
「……………」
「泣き叫ぶあの家族を見て、どうだった?可哀想か?それともすっきりしたか?」
「………すっきりしました」

さくやは嘘をつかない。そこは信用できるやつだった。

「じゃあ、あの家族を虐めるあの群れは、僕はどうだった?ゆっくりできたか?」
「………いいえ」
「そうだろう。
虐めは楽しいさ。すごく楽しい。
ありすの復讐なんて言ってるが、結局は僕も、虐めが楽しいゲスだってことさ。
そしてさくや、お前もたぶんそうだ」
「………」
「僕がお前をあそこに連れていくのは、あの群れを見せたいからだ。
自分より弱い者をよってたかって虐めるその姿を見せるためだ。僕自身もね。
さくや、お前にはそんなふうになってほしくない。「ああなりたくない」、そう思ってくれ」
「おもってます。いえ、おにいさんはべつですけど」
「弱い者を虐めるのは楽しい。ゆっくりも人間も同じだ。
歴史を見てみれば、人間だってゆっくりとそう変わらない。
僕が愛したあの最初のありすも、飾りがない同種を見つければ虐めたくなっていたのかもしれない。
今、僕の家にいるゆっくり達も、なにかの拍子でいじめたい欲望が頭をもたげてくるかもしれない。
そんな時は、あそこに連れていくつもりだ。
あの群れは、お前たちの教材だと思ってくれたらいい」

言いながら、自分へのかすかな嫌悪が頭をもたげる。

最愛のありすを殺されたことで逆上し、それまで知らなかった自分を見た。
ゆっくりの家族をあそこまで虐げ、それを楽しんだ自分に、
冷静になった今でも、あの家族を許してやる気にならない自分に多少ぞっとする。
あまあまの味を知ったあの群れのその後がどうなるかも知ったことじゃない。

この期に及んで取り繕いはすまい。
これは制裁でもなく、正義の鉄槌でもなく、より強い者が弱い者を食い物にしただけのことだ。
僕のしたことはあの家族と同じだった。

この復讐劇はこれかぎりだ。
この件以後、野良ゆっくりには関わることなく、
飼っているゆっくり達の面倒を最後まで見て、それで終わりにしよう。

本当にそうか?
嗜虐の快感を知った僕が、一生この衝動を隠し通せるものか?
なにかの拍子で、たとえば今飼っているゆっくりが危害を加えられたとしたなら、
その復讐を免罪符として、嬉々としてまた繰り返すんじゃないのか?
そんな僕が、飼いゆっくりや子供たちに「虐めはよくない」と説教する資格があるのか?

「ははは」

自嘲の笑いが漏れ、さくやが怪訝な顔を向けてくる。
その頭を撫でてやりながら、僕は一人で頷いた。

そうするしかない。
自分にその資格がないとわかりながら、それでも子供たちの前では立派な顔をしていなければならない。
それが大人というものなんだから。

せめてこいつらの前では、「ゆっくりできるおにいさん」でいよう。
今はそれで充分だ。

〔終〕

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  • せめてこのお兄さんには欲望に負けず自分のゆっくり達を大切にしていってほしいな -- 2023-07-25 (火) 21:09:54
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