anko1548 よわいものいじめはゆっくりできないよ!(前編) の変更点
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バチィン!
「ゆびゃあああぁぁぁん!!いぢゃいっ!!いぢゃいよおおぉぉぉ!!」
「ゆあああああああ!!おちびぢゃああああああん!!」
バチィン!
「ゆっぴゃあああああああ!!ぼうやぢゃあああ!!おぢょうじゃんだじゅげぢぇぇぇ!!!」
「やべでっ!!やべでねっ!!おぢびぢゃんがいだがっでるよっ!?やべであげでぇぇ!!」
バチィン!
「いぢぃいいいいいいいっ!!?」
ぷしゃあ、という勢いのいい音を立てながら赤まりさは失禁した。
それを見た親ゆっくり共がますます声を上げて赦しを乞う。
「やべでぇぇえええ!!どぼぢでごんなごどずるのおおぉぉ!!?」
「おぢびぢゃんいだがっでるよおぉぉ!!ぼういぢべないでええぇぇ!!!」
「まりちゃおにぇーちゃんをいぢめにゃいでよぉぉ!!ぷきゅーしゅるよっ!!ぷきゅーっ!!」
子ゆっくり共が泣き叫び、膨らんで威嚇してくる。
タコヤキのようにまん丸になっている子ゆっくり共は総勢十匹近く、数えてみたら八匹だった。
手に握りこんだ赤まりさの尻に、さらにデコピンを叩きこむ。
バチィン!
「ゆびゃんっ!!?ゆびゃあぁぁぁ!!いぢゃあああいいいいぃぃぃ!!
だじゅげぢぇぇぇ!!だじゅげでよぉぉぉぉ!!!」
「なんでえぇぇ!!?どぼぢでごんなごどずるのおおぉぉ!!?」
「楽しいからだよ」
僕はそこで答えてやった。
「ゆぅぅ!?」
「なんでぇ!!?なんでこんなことがたのしいのおぉぉ!!?」
「楽しいからやってるんだ。お前達みたいなクソ饅頭が、痛い目に遭わされて泣きわめくのを見るのが楽しくて仕方ない。
アホ面歪ませてゆぴーゆぴー泣いて、本当に醜い、弱いクソ饅頭。
お前達を見てると、人間様に生まれることができた幸せを噛みしめていられるんだよ。
いやあ、本当に虐待は楽しいなあ!!」
胸を反らして笑ってみせる僕に対し、親まりさが涙を流しながら反撥してきた。
「ぞんなっ……ぞんなのおがじいよっ!!
まりさたちだっていきてるんだよっ!?
ちいさなおちびちゃんたちだって、みんなみんなせかいにひとつしかないかけがえのないいのちなんだよっ!!?
にんげんさんにくらべればよわいかもしれないけど、ゆっくりだってがんばっていきてるんだよ!!
いたいいたいをされたらゆっくりできないよ!!それをよろこぶなんて、ぜったいまちがってるよおおぉ!!!」
「なんでー?なんで間違ってるの?ねぇねぇ教えてー」
バチィン!!
「ぎゃぴいぃっ!!?ぼういや!!おうぢがえるうぅぅ!!!」
「まぢがってるよおぉ!!」
今度は親れいむが声をあげた。
「どぼぢでっ!!?よわいものいじめはゆっぐりでぎないんだよっ!!!
みんなしってるよ!!こどものころから、みんなおとうさんとおかあさんにおしえてもらうでしょ!?
よわいものをいじめるのはゆっくりできない、わるいことだってえぇぇ!!」
「なんで悪いの?僕は楽しいもん」
「にんげんさんだって、ゆっくりだって、おなじいきものだよっ!!
みんないきてるんだから、みんなでいっしょにゆっくりしなきゃいけないんだよっ!!!
よわいからいじめていいなんてわるいことだよっ!!!」
「人間なら苛めないよ。人間なら敵対するより協力したほうが得だし、
相手にやり返されたらこっちも被害が出るしね。
でも、お前らなんて役に立たないし、反撃されたって痛くもかゆくもないもん。
はい、もう一発」
バチィン!!
「おぎゃあじゃあああああーーーーっ」
「やべでぐだざいいいぃぃ!!おでがいじばずううぅぅ!!」
「ばりざだぢなんにもわるいごどじでないのにいぃぃ!!」
「弱者は存在自体が悪なんだよ!いじめられても文句は言えないよ!ゆっくり理解してね!!」
「どぼじでぞんなびどいごどいうのおぉぉぉ!!?」
それから、僕はゆっくり共を苛めつづけた。
定規で執拗に尻を叩いたり、爪楊枝でぷすぷす刺したり、髪をつかんで引きずり回したり。
致命傷は与えないように、特に子ゆっくり共を重点的にやる。
子ゆっくりが悲鳴をあげるたびに、親ゆっくりはさらに大きな悲鳴を張り上げた。
「やべでええぇぇ!!おぢびぢゃんだぢをいじべだいでよおおぉぉ!!!」
「なんでっ!!なんでなにもしてないおちびじゃんだぢにこんなにびどいごとがでぎるのおぉぉ!!?
おにいざんにはりょうっしんっがないのおおぉぉ!!?
ぜったいおかしいよぉぉ!!おにいざんはふつうじゃないよおぉぉ!!」
「そんなに僕はおかしいかな?」
「おかしいよっ!!ゆっくりしてないよっ!!!
いきものをいじめてたのしむなんてふつうじゃないよぉぉ!!」
「そうかな?」
「いきものさんはっ!!みんなっ、みんなみんなおともだちっ!なんだよっ!!
よわいからっていじめるより、みんなでいっしょにゆっくりしたほうがぜったいゆっくりできるよ!!
じぶんだけゆっくりできればいいなんてまちがってるよ!!おにいさんはまちがってるよぉぉ!!」
「あっ、そう」
僕は立ち上がると、
泣き疲れてゆぴぃゆぴぃと呻いている子ゆっくり共を大きなダンボール箱に放り込んだ。
続けて親ゆっくりも投げ込む。
「ゆびぃっ!!」
総勢十匹のゆっくり共が入っても、
もともとはパソコン一式を収納していた箱はスペースにだいぶん余裕があった。
そして、ゆっくり共が痛みにうずくまっているうちに、
箱の隅にケース入りの爪楊枝の束を入れる。
「さて」
僕は、ゆっくり共の入った段ボールをベランダに持ち出し、側面を床に接して置いた。
もう一方の側面が屋根となり、開いた部分が外に面して入り口となる。
野良ゆっくりがよくこのようにして、箱を家にしている。
「ゆゆぅ……?ゆっくちできりゅおうちしゃんだにぇ……」
比較的余裕のある一匹の赤まりさが、涙を浮かべながらもボール箱を見回して鳴いた。
にぱっと顔をほころばせ、お家宣言を行う。
「きょきょをまりちゃたちのゆっくちぷれいちゅにしゅるよっ!!」
「じゃ、君かな」
声をあげた赤まりさを取り上げる。
「ゆぴぃぃっ!?おしょらをとんぢぇるみちゃいっ……にんげんしゃんはいやああぁぁ!!」
「おちびちゃああぁぁん!!?」
「今日からそこがお前達の家だから。あと、この子はもっと苛めるから」
「ゆあああああ!!?やめてくださいっ!!
いじめるならまりさにしてくださいいいぃぃ!!そのこはまだちいさなこどもなんですうぅぅ!!」
「れいむをいじめていいですからあぁ!!おちびちゃんだけはあぁぁ!!!」
「やめてにぇっ!!いもうちょをいじめないでにぇええ!!」
「おねーさんのまりさがかわりになるよっ!!まりさはたすけてね!!」
「れいみゅがみがわりになりゅううう!!まりしゃああぁぁ!!」
口々に身代わりを申し出る家族共。
要するに、こいつらは、善良ということなんだろうか。
僕は苦々しい思いでその様子を眺めていた。
「お前たちに決定権ないから。とにかく貰ってくよ。まりさちゃん、一緒にゆっくりしようね~~」
「ゆぴゃあああああぁぁ!!!ゆっぐぢでぎにゃいいいいぃぃぃ!!!」
「おぢびちゃああああああーーーーーーーんっ!!!」
ぎゃんぎゃん泣き喚く家族共を尻目に、
僕は赤まりさを持って家に入るとベランダに面したガラス戸を閉めてしまった。
―――――――
「ゆうううう……ゆっぐうううぅぅ………どぼじで……どぼじで……
まりさたちなんにもわるいことしてないのにぃぃ………」
「おちびちゃん………おちびちゃあぁぁん………」
「きょわいよぉ、おきゃーしゃぁぁん!!」
ゆっくりの家族は、ダンボールの中で互いに身をすり寄せながら泣いていた。
「ゆっぐ、ゆっぐ……まりさ……まりさ……ぶじでいてねぇ……」
「ごめんね………ごめんね………かぞくをまもれないだめなおとうさんでごめんねぇ………!」
「ゆ、ゆぅぅ……れいむもおなじだよ……れいむも、なにもできなかったよ………
おちびちゃんたち、ごめんねぇ、ごめんねぇ……ゆっくりできないおかあさんたちをゆるしてね……」
「ゆゆーん、どぼしてそんなこちょいうにょぉ~?!」
「おきゃーしゃん、なかにゃいでにぇ!しゅーり、しゅーり……」
「ぺーりょぺーりょしゅるよ!ぺーりょ、ぺーりょ」
「ゆゆぅぅぅ………!ありがとう、ありがとうね……すーり、すーり……」
「おとうさん、がんばるからね………きっとおちびちゃんをとりかえして、
このゆっくりできないにんげんさんのおうちからにげだそうね!」
「まりさ……やっぱり、まりさはれいむのかけがえのないおっとだよぉ……!」
「おちょーしゃん、かっきょいいー!!」
「ゆゆぅ、ありがとうなのぜ……
まりさはいっかのだいこくっばしらっ!だよっ!!まかせてねみんな!!」
「おきゃーしゃん、おうちゃうたっちぇ……」
「ゆ、そうだね。おちびちゃんたち、みんなでうたってげんきをだそうね!
♪ゆっくり~のひ~、まったり~のひ~、すっきり~のひ~……」
「♪ゆゆゆ~ゆ~、ゆんゆゆゆ~ゆ~……」
「(まりさのだいじなだいじなれいむとおちびちゃんたち……
おとうさんが、ぜったいにまもってあげるからね……!!)」
まりさ達は森に棲んでいた。
森の中の木のうろに家を作り、家族で仲睦まじく暮らしていた。
すぐ側に人里があったが、群れのいいつけをよく守り、まりさ達は人間に関わろうとはしなかった。
群れの掟に従ってすっきり制限も守り、冬籠りも危なげなく乗り越えた。
そうして春になると、たっぷりすっきりをして子供を作った。
子供の数はかなり多かったが、
献身的に餌を集める親まりさと、子供から目を離さずによく面倒を見る親れいむのおかげで、
一匹の脱落もなく今日まで育ててこれた。
人当たりのよい夫婦で、子供たちの躾もよく、
この家族は群れのみんなからも「ゆっくりしている」と褒めそやされていた。
だが、悲運は理不尽にも訪れた。
今日の朝のこと、まりさが楽しいオモチャを家に持ってきたのでみんなで遊んでいたところ、
突然家にやってきた人間のお兄さんが家を壊し、家族を丸ごと袋に詰めて攫ってしまったのだ。
そして人間の家に連れてこられ、たっぷり苛められ、今に至る。
明日からの自分たちの運命を思うと、親まりさは内心暗澹たる思いにかられる。
しかし親まりさは希望を捨ててはいなかった。
まりさには素敵なれいむがいる。可愛いおちびちゃん達もいる。
冬籠りも、長雨も、ゆっくりできない犬さんに遭ったときも、
家族みんなで協力して切りぬけてきたじゃないか。
この愛しい家族がいれば、どんな困難も乗り越えられる。
まりさはきりりと眉を引き締め、家族に向かって叫んだ。
「ゆっくりしていってね!!」
「ゆっくりしていってね!!」
「「「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」」」」
すぐに返事が返ってきたが、家族はふくれっ面をした。
「もう、まりさったら!おうたのとちゅうで、じゃまをしないでね!!」
「おちょーしゃん、ひぢょいよっ!!」
「ゆふふ、ごめんねっ!!」
「ゆーん……よくわからないけど、まりさはゆっくりしてるね!!」
「ほんちょだ、おちょーしゃんとっちぇもゆっくちしちぇるよ!!」
「ゆゆぅ~~ん!まりちゃのじみゃんのおちょーしゃんだよっ!!」
家族たちの笑いさざめきに囲まれてまりさは目を細め、決心を固くするのだった。
「おちょーしゃんっ!!おきゃーしゃああぁん!!!」
声がした。
身を寄せ合っていた家族達は、声のしたほうに向きなおった。
一匹の子まりさが、泣き叫びながらこちらに駆け寄っていた。
「ゆわあぁぁぁん!!きょわかっちゃよおおぉぉ!!
おちょーしゃんっ!!おきゃーしゃんっ!!ゆっくち!!ゆっくちぃぃ!!」
涙を流してぽいんぽいんと跳ねてくるその子まりさを認め、親れいむは叫んだ。
「ゆゆっ!!ゆっくりできないゆっくりがいるよっ!!!」
親まりさも続いて叫ぶ。
「ゆっ!!ほんとだよっ!!おかざりがなくてゆっくりしてないよっ!!」
「おちょーしゃぁぁん!!しゅーりしゅーりしちぇええぇぇ!!」
「ぷくうぅぅ!!」
「ゆぴいいぃぃぃぃぃぃっ!!?」
向かってくる子まりさに対し、親まりさは威嚇のぷくーで応えた。
風船のようにまん丸に膨らんだ父親の姿に、子まりさは恐怖し、即座に失禁する。
「なんぢぇえええぇぇ!!?なんぢぇぷきゅーしゅるのおおぉぉ!!?
いやあああぁぁぁぷきゅーはいやあああぁぁぁゆっくちできにゃいいいぃぃぃ!!!」
「うるさいよっ!!おかざりのないゆっくりできないこはあっちいってね!!
でないとせいっさいっ!するよっ!!」
「ゆええええぇぇ!?まりしゃはおぼーちしゃんもっちぇるよおぉぉ!!
ゆっくちできにゃいおにーしゃんにとられちゃだけだよおぉぉ!!!
しゅーりしゅーりしちぇよおぉ!!おちょーしゃああん!!!」
子まりさの頭には帽子がなかった。
先だって人間の家に拉致された際に奪われている。
ゆっくりは、飾りのない同族を強く忌み嫌う傾向がある。
まりさ種なら帽子、れいむ種ならリボンといった頭部の飾りは個体識別に必要なシンボルであり、
それがなくなるということは、同族とのコミュニケーションに深刻な問題をもたらす。
また、ゆっくりという種族は本能的に自分の飾りを大切にする習性があり、
飾りをなくすことに死ぬよりも辛い苦痛を感じる。
その反動で、飾りを失ったゆっくりには人格(ゆん格)を認めず、徹底的に迫害する。
「ふざけないでねっ!!まりさのおちびちゃんはおまえみたいなゆっくりできないこじゃないよっ!!」
「そうだよっ!!しつれいなこといわないでねっ!!
おまえみたいなゆっくりできないこが、れいむのまりさをおとうさんなんてよばないでね!!ぐず!!」
「おきゃーしゃああん!!?どぼぢでぞんなごぢょいうにょおおお!!」
「だれがおまえなんかのおかあさんなのおおおおぉぉ!!?」
親れいむもぷくーで威嚇し、子まりさはますます号泣してしーしーを撒き散らした。
「いやああぁぁぁ!!!やめちぇええええゆんやああああああ!!!」
「ゆーっ!!ゆっくちできにゃいゆっくちだにぇ!!」
子ゆっくり達も家から這い出してきて、子まりさを取り囲み、罵声を浴びせる。
「おかじゃりがにゃいくちぇにいきちぇるにゃんてはじゅかちくにゃいの?おお、あわれあわれ!!」
「みちぇるだけじぇゆっくちできにゃいよっ!!ゆっくちきえちぇにぇ!!いまちゅぐでいいよっ!!」
「ゆええええぇん!!にゃんでっ!?にゃんでしょんなこちょいうにょおおぉぉ!!?
おにぇーちゃあああん!!ゆっくちちちぇよおぉぉぉ!!」
「おみゃえにおねーちゃんなんちぇよばれちゃくにゃいよっ!!」
「ゆっくちできにゃいくせににゃれにゃれしいよっ!!ぷきゅーっ!!」
「ゆびゃああああああああ!!」
家族全員に取り囲まれ、更にぷくーをされる子まりさ。
泣き喚きながら逃げ出そうとするが、どこを向いても肉親のぷくーに突き当たる。
いくら助けを求めても、実の親はいよいよ大きく膨らむばかりだった。
逃げ惑う子まりさを取り囲む子ゆっくり達は、面罵しながら徐々に包囲を狭めてゆき、
ついにはその内の一匹が体当たりを喰らわせた。
「ゆっくちできにゃいゆっくちはゆっくちちにぇっ!!」
「ゆびぃ!!?」
衝撃で転がされ、子まりさは肉体的な痛みと精神的な痛みに悶える。
「ゆんやあぁぁ!!おねえじゃんっ!!どぼぢでごんなっ!!?」
「ゆっくちだまりぇ!!」
すぐに他の子ゆっくりも加わり、体当たり、踏みつけ、噛みつきと、寄ってたかって痛めつけ始めた。
「おみゃえにゃんかがれいみゅのいもうちょなわけにゃいでしょ!!?」
「まりちゃのいもうちょはもっちょゆっくちちてるんだじぇ!!うしょちゅきゆっくちはちにぇ!!」
「うすぎたないごみくずがゆっくりみたいにしゃべらないでね!!」
「ゆああぁーーーーっ!!ゆびゃああーーーーーっ!!!」
絶望と苦痛に、子まりさは泣き喚き絶叫する。
救いを求めて両親のもとに這いずり寄るが、両親はにやにやと笑みを浮かべているばかり。
「ゆぷぷ!ゆっくりできないごみくずはなきがおもゆっくりできないね!おお、あわれあわれ」
「まりさのおちびちゃんたちはせいっさいっもゆっくりしてるよぉ~~♪
おちびちゃんたち、もっとせいっさいっしてあげようね!!たくさんでいいよ!!」
「「「ゆっくちりきゃいしちゃよっ!!」」」
延々と私刑は続けられた。
子まりさの懇願は聞き入れられず、執拗に打擲が繰り返される。
やがて、一匹の子ゆっくりが、家の中にあったそれを手に取る。
「ゆゆっ!!ぷすぷすしゃんがありゅよっ!!」
先ほどの男が入れておいた爪楊枝のケースを引っ張り出し、横に倒す。
爪楊枝の束がこぼれ出して散らばった。
その一本を舌で取り上げ、その子れいむは眉をキリリと引き締めて宣言した。
「このぷすぷすしゃんでしぇいっしゃいっしゅるよっ!!
かしきょくっちぇごみぇんにぇ~☆」
「ゆゆっ!!ゆっくりできるぷすぷすさんだね!!」
「れいむのおちびちゃんはかしこいね!!おかあさんははながたかいよぉ~!」
「ぷーす!ぷーす!」
「ゆぎゅああああ!!?」
口に咥えた爪楊枝で、子れいむは子まりさの頬を突き刺した。
それまでとはレベルの違う鋭利な苦痛に、子まりさは飛び上がる。
「いぢゃい!!いぢゃい!!いぢゃよおおおぉぉぉ!!!
やべでよおおおぉぉ!!ほんどにいぢゃいいいいいぃぃ!!!」
「ゆゆ~んっ!!こうかはてきっめんっだよっ!!」
「まりしゃもぷしゅぷしゅしゃんしゅるよっ!!」
「れいみゅもっ!」
「まりしゃもっ!!」
七匹の子ゆっくり達がそれぞれに爪楊枝を咥え、子まりさの全身を突き刺していく。
一突きごとにびくんっ!と身を震わせ、子まりさは涙を撒き散らして懇願した。
「やべぢぇ!!やべぢぇ!!いぢゃいいいぃぃ!!
どぼじでごんなっ!!ゆぎいぃぃ!!いぢゃああああぁぁあ!!!
だじゅげじぇっ!!おぎゃあじゃああああん!!いぢゃいっ!!ばりじゃいじゃいよおぉぉ!!
ぺーろぺーろじでっ!!あぎゃっ!!!ゆんやあああぁぁおうぢがえりゅうううう!!」
「おかあさんなんてよばないでっていってるでしょおお!!?」
「どぼじでっ!!おぎゃーじゃっ!!ばりじゃがぎゃわいぐにゃいのおおぉぉ!?」
「なんでおまえなんかがかわいいのおぉ!?おかざりのないゆっくりのくせに!!
れいむのおちびちゃんはとってもゆっくりしたおかざりがあるよっ!!」
「ゆっ!ゆぐぅぅ!!でぼ、でぼおぉ!!」
「おかざりだけじゃないよっ!!ほっぺさんもふっくらしてるし、へあーさんもきゅーてぃくるっ!だし、
おめめさんはくりくりだし、おはださんもつやつやしてるゆっくりしたびゆっくりだよっ!!
おまえみたいなごみくずがかわいいれいむのおなかからうまれるわけないでしょおぉ!!ゆっくりりかいしてねぇ!!」
「ばりじゃはがわいいよおぉ!!どぼじでぞんなごどいうのおぉぉ!!?」
「ゆふぅぅ~~~………」
親れいむはため息をつき、爪楊枝を舌で掴むと子まりさの前に進み出た。
慕わしい母親の顔を見上げ、子まりさは救いを求めて呼ぶ。
「お……きゃあ、しゃ………」
「ぷーすぷーす!だよっ!」
「ゆぴきゃああああああああぁぁぁあっ!!!?」
親れいむの爪楊枝が、子まりさの左目を突き刺していた。
眼球を貫かれる激痛に、子まりさはびたんびたんと身をよじる。
「あぎゃあああああいぢゃあああああああああああ!!!
ぬいぢぇぬいぢぇぬいぢぇぬいぢぇぬいぢぇえええええええ!!ゆっぐじでぎにゃああああああ!!?」
「ぐ~り☆ぐ~り☆」
「ゆぎょおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!?」
丹念に眼球を抉られ、ムンクのように絶叫しながらますます身をよじる子まりさ。
「ゆっゆ~~ん♪かわいいれいむのかわいいせいっさいっ☆だよっ!!」
「ゆぅ~……れいむはほんとにかわいいよっ!すーりすーり!」
「ゆんっ!もうっ、まりさったらぁ……おちびちゃんたちがみてるよっ///」
「ぎゅっ!!あぎゅっ!!いぢゃいぢゃいぢゃいいぃぃ!!ゆぎぇえええええ!!!」
親れいむは夫といちゃつきながらも爪楊枝の動きを休めない。
「ゆゆーっ!しぇいっしゃいっはゆっくちできりゅにぇ~~!」
「まりしゃももっちょしぇいっしゃいっしちゃいよっ!!」
「ゆっ、じゃあみんなでなかよくせいっさいっしようねっ!!
すぐにころしちゃだめだよ!!えいえんにゆっくりしないように、まんなかのあんこさんはきずつけないでね!!」
「ゆっくちりかいしちゃよっ!!」
再び子ゆっくり達が子まりさに群がり、口に咥えた爪楊枝を突き刺しはじめた。
「ゆびゅ!!ゆびゅ!!ゆぎいぃいぃ!!いぢゃいぢゃいいいいぃ!!
やべぢぇ!!やべぢぇえ!!ぼういやおうぢがえりゅうううぅ!!
だじゅげぢぇっ!!おどうぢゃっ!!おがあぢゃっ!!どぼぢでっ!!
ゆぎょあっ、あっ、びぃ!!ゆぎゅううぅぅ!!!ゆっぐぢ、じぢゃいいぃ!!ゆっぐぢ!ゆっぐぢびぃぃ!!!」
―――――――
「おい」
声をかけてやると、ゆっくりの家族はすぐにこちらに気づいたようだ。
ぴょんぴょん跳ねてきて僕の足元に群がり、頭を下げて頼んできた。
「おにいさんっ!!かえしてねっ!!まりさのおちびちゃんをかえしてねっ!!」
「まだなにもわからないこどもなんですうぅう!!おちびちゃんだけはゆるしてくだざいいいい!!!」
「おにぇーしゃんをかえちてにぇ!!かえちてにぇ!!」
「おにぇーしゃんをいじめにゃいでよぉぉ!!ゆええぇん!!」
「んー?いや、あいつは僕が苛めるために飼うことにしたし」
「ゆんやあああぁぁぁ!!やべで!!やべでええぇぇ!!
おぢびぢゃんだげはああああぁぁぁ!!!」
「どっでもいいごなんでず!!おがあざんおぼいでっ!!いぼうどだぢのめんどうをよぐみでっ!!
いづもあがるぐで、おうだもじょうずでぇっ!!どっでもどっでもゆっぐじじだ、がぞぐのあいどるなんでずうぅぅ!!
おぢびぢゃんをいじべぢゃだべえええぇぇ!!」
「さっきも言ったけど、別にいいだろ。お前らゴミクズなんか苛めたってさ」
「どぼじでぞんなごどいうのおおぉぉ!!?ばりざだぢはごびぐずじゃだいいいい!!!」
「ひとのいやがることはしちゃだめなんだよっ!!いじめなんてぜったいよくないよおぉぉ!!!」
「ふーん……あれはいいの?」
そう言い、僕はそれを指差した。
「……………ぴぃ………………ぴ……ぃ」
その子まりさはひどい有様だった。
頬と言わず頭と言わず足と言わず全身にありったけの爪楊枝を突き刺されており、
特に潰された左目を中心的に刺されてその部分で束になっている。
引きずり出された舌にも何本も突き立てられ、口内も蹂躙されているようだった。
ほじり出されたらしい歯が何本も散らばっている。
さらに悲惨なことには、あにゃると強引に勃たせられたらしいぺにぺにの先にも数本貫き通されていた。
うつろな右目から涙を流し、子まりさはぴくぴくと小刻みに痙攣していた。
ゆっくりらしからぬ器用さで絶命させるのを避け、苦痛を長引かせて楽しんでいたようだ。
「ずいぶんひどいことをするじゃないか。あれは苛めじゃないのか?」
「ゆゆっ?」
何を言っているのかわからないという様子で、ゆっくりの家族はきょとんと僕を見つめた。
僕の顔を見上げ、ハリネズミ状態の子まりさを見やり、それを交互に何回か繰り返してから、
ようやく親れいむが答えた。
「ゆっ、おにいさん、ゆっくりりかいできないよ?もういっかいいってね」
「だから、あれは、弱い者苛めじゃないのか?」
「ゆぅ~~?」
子まりさのほうを少しの間見つめてから、親まりさが笑顔を浮かべて答えた。
「ゆゆっ!おにいさん、よくみてねっ!!
あのごみくずにはおかざりさんがないよっ!!おにいさんはあわてんぼうだね!!」
「……だから何だよ?」
「ゆーっ?おかざりさんがないとゆっくりできないよ?」
「だから?」
「おにいさん、なにいってるの?ゆっくりしてね?」
「あれは弱い者苛めじゃないのかって言ってるんだ。
ゆっくりできないのかなんなのか知らないが、だからってあんなひどいことをしていいのか?」
ゆっくりの家族はお互いに顔を見合わせ、「ゆふふっ」と笑った。
その笑顔だけを見ると、なんとも善良そうな穏やかな表情だった。
親れいむがすまし顔で、もみあげを振りながら諭してきた。
「おにいさん、れいむのいうことをよくきいてゆっくりりかいしようね!
あれはおかざりのない、ゆっくりできないゆっくりなんだよ。
ゆっくりできないゆっくりをいたいいたいするのは、いじめじゃないんだよ。
せいっさいっなんだよ。ゆっくりりかいしてね?」
「飾りがないとなんで痛めつけていいってことになるんだよ?」
「ゆっくりできないからだよ!あたりまえのことだよ?」
「あのな、そいつだって生きてるだろう。
いくらゆっくりできなくても、そいつも一生懸命生きてるかけがえのない命じゃないか。
同じ生き物だろ?生き物同士、みんなで協力してゆっくりしなきゃいけないんだろ?
お前たちが言ってたことだぞ」
「ゆぷぷぷっ!!」
黙って聞いていた親まりさが噴き出した。
「ゆゆぅ~ん!まりさったら!わらっちゃかわいそうだよぉ~~☆ゆぷっ!!」
「ゆぷぷぷ、れいむだってわらってるよ!!
おにいさんはいくらなんでもじょうっしきっがなさすぎるよ!
わるいとはおもったけど、ついがまんできなかったんだよ!!ごめんね、おにいさん!!」
「「「おにゃじいきもにょだっちぇ~~!!ゆっきゃっきゃっきゃっ!!!」」」
子ゆっくり達は思う存分笑い転げている。
「僕の言ってること、そんなにおかしいかい?」
「ゆふふ、おにいさん、おかざりのないゆっくりはいきものなんかじゃないよ。
ゆっくりできないごみくずなんだよ!
いっしょうけんめいいきてるとか、きょうりょくしてゆっくりするとか……ゆぷぷぷぅ!!おもしろすぎるよぉ~~♪」
「あんなのをいきものとよんであげるなんて、おにいさんもものずきだね!
みるだけでゆっくりできない、あんなごみくずはれいっがいっ!だよっ!!
いくらなんでもあんなのだけはなかまにできないよねぇ~~?」
「「「できにゃいよっ!!みゅり、みゅり~♪」」」
「飾りがないっていうだけで、そんなに迫害できるのか。
そいつだって親がいただろうし、姉妹だっていただろう。
ゆっくりしたい気持ちはお前らと変わりはないし、何か悪いことをしたわけでもない。いい奴だったかもしれない。
それなのにそんな目にあって、かわいそうだと思わないのか」
「かぞくっ!しまいっ!ゆぷっぷーっ!!そうぞうしただけでわらっちゃうよぉ~~!!」
「あんなののかぞくなんてよっぽどゆっくりできないんだろうね!!あわれあわれ!!」
「おにいさん、ゆっくりできないゆっくりはいきてるだけでわるいんだよ。
おかざりをなくすようなゆっくりだから、おつむさんもわるいし、ぶさいくゆっくりだし、にくたらしいよ。
そのすがたでみんなをゆっくりできなくさせてきたんだから、
さいごにまりさたちのおもちゃになってやくにたててしあわせーっ!なんだよっ!!」
「僕も、そうなんだけどな」
「ゆゆっ?」
「僕にとっても、お前らゆっくりは何の役にも立たないゴミクズで、ゆっくりできない。
ほとんどの人間がそう思ってるよ。
だったら、苛めておもちゃにしてやったほうがお前らは幸せなんだよな?」
「ゆーーっ!!?どぼぢでぞうなるのおおぉぉ!!?」
ゆっくり達がまた騒ぎ始めた。
「いいすぎでしょおおぉぉ!!?
まりさたちはにんげんさんにくらべればよわいよっ!!やくにたたないかもしれないよっ!!
でも、でもぉ!!あんなごみくずにくらべればずっとずっとずっとちゃんとしてるよおおぉぉ!!」
「へんだよおおぉぉ!!なんでれいむたちゆっくりがあれとおなじになるのおおぉぉ!!?
おにいさんのいってること、ゆっくりりかいできないよおおぉぉぉ!!!」
「理解できるさ。
そうだな、とてもいい教えを賜ったお礼に、お前らのおちびちゃんを返してあげようか?」
「ゆゆーっ!!?かえしてくれるの!!?おちびちゃんかえしてくれるのおおぉ!!?」
「ありがとうございます!!ありがとうございます!!ありがとうございます!!おにいさんありがとううぅ!!」
「やっぱりはなせばわかってくれるんだよおおぉ!!
おにいさんっ!!ゆっくりありがとうねえぇ!!おちっ、おちびちゃんはぶじですかっ!?」
「あー………そうでもないかな」
「ゆゆっ!!?なにをしたのおぉぉ!!?ゆっくりできてないのおぉ!!?」
「ひどいいぃぃ!!がえじでっ!!ばやぐがえじでねええぇぇ!!」
「はい」
僕は、おちびちゃんを返してあげた。
―――――――
「ゆっ?」
目の前に現れたそれを認識するのに、たっぷり十数秒かかった。
全身、おめめやほっぺやべろやぺにぺにやあにゃるにぷすぷすさんを突き刺され、ぴくぴくと痙攣している小さな子まりさ。
お兄さんがその頭にちょこんと帽子を載せたことで、
れいむ達家族は、それが誰なのかをゆっくりと理解した。
叫び出したのはほとんど全員同時だった。
「「「「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!???」」」」
衝撃のあまり身動きもできず、咽喉も裂けんばかりにひたすら叫び続けた。
「あ゛ーーーーーーーーーーーーーっ!!!?あ゛あ゛ーーーーーーーっ!!?あ゛ーーーーーっあ゛ーーーーーーっ!!!!!」
「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
意味のある言葉を発するまで少しかかる。
「でいぶのおぢびぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」
「ばじじゃあああああああああああぁぁぁぁーーーーーーー!!!あ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「おでえぢゃ!!おでえぢゃ!!いやぢゃあああああーーーーっおでえぢゃああああーーーーーー」
「ゆっぐぢ!!ゆぐっぢ!!ゆぐううううううぢいいいいいいいいいいいがああああああああ!!!!」
「ばりざがどぼぢでごんなめにいいいぃぃ!!?」と叫ぶ者は誰もいなかった。
それをしたのはまぎれもない自分達なのだから。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛じだだいで!!じだだいで!!おぢびぢゃんじだだいでえええええええ!!!!」
「だべえええええええええいえんにゆっぐじじぢゃだべえええええええ!!
おでがいいいいいおべんじじでええええええええゆぎゃあああああああああ!!!!」
「おでえぢゃあああああん!!ゆっぐじじで!!!ゆっぐじじでよおおおぉぉぉ!!!おうぢゃうだっでよおおおぉぉお!!!」
大量の涙を床にこぼしながら這いずり寄っていき、家族で必死にぺーろぺーろしようとする。
しかし、ほとんど隙間なく突き刺された爪楊枝に遮られて舌が届かない。
全員どうすることもできず、ただ目をむいて泣き喚くしかなかった。
「でぎだいいいい!!!でぎだいよおおおぉぉ!!べーろべーろでぎだいいいいいぃぃぃぃ!!
おぢびぢゃんじんぢゃう!!えいえんにゆっぐじじでゃうううううううううーーーーー!!!!」
「ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!いやだっ!!いやだいやだいやだあああああ!!!じだだいでええええ!!!」
「だぢゅげでよおぉぉ!!おでがいいぃ!!おでえぢゃんをだぢゅげでよおおぉぉ!!
おでえぢゃんいにゃいどゆっぐぢでぎにゃいよおおおおおぉぉぉ!!!」
「でぎだいっ!!でぎだいよぉ!!おがあざんだずげであげられだいよおおぉぉ!!」
「よかったじゃないか」
「ゆぐううぅぅぅっ!!!?」
声のしたほうを向くと、人間さんがにこにこ笑っていた。
「ゴミクズを制裁したんだろう?そいつ、そのまま死ぬよ。やったな!」
「ぢがうっ!!ごびぐずじゃだいっ!!がわいいがわいいばりざのおぢびぢゃんだよおおぉぉ!!」
「へーえ?そんな可愛い可愛いおちびちゃんを、なんでそんな目に遭わせたんだい?」
「ゆぐーっ!!ゆぶーっ!!う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅぅ!!!」
答えられず、まりさは呻くしかない。
「ひどいよなあ。お目目をえぐり出して、ぺにぺにをわざわざ立たせてぷすぷすして。
あにゃるもまむまむももう使い物にならないな、もし助かっても一生おちびちゃん作れないぞ」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おぢびぢゃ!!おぢびぢゃ!!
ごべんね!!ごべんね!!ごべんでえええええええ!!!」
「舌にもいっぱい突き刺して、歯もえぐり出して、もうお歌も歌えないな。
「ゆっくりしていってね!!」さえ言えないなあ。二度とゆっくりできないね!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛いやだ!!いやだ!!いやだあああぁぁ!!
ごんなっ!!おぢびぢゃああああごべんだざいいいいぃぃぃ!!!」
「今更なに謝ってんだよ。あんっなに楽しそうに制裁してたのに」
「ゆげええええぇぇ!!!」
自分たちがした行為のあまりのおぞましさに、家族が餡子を吐きはじめた。
あんなにゆっくりしていたおちびちゃん。
ゆっくりしたお歌を歌い、家族をゆっくりさせてくれたおちびちゃん。
お父さんとお母さんを慕い尊敬し、将来お父さんたちみたいになると言っていたおちびちゃん。
親をいたわって、家の手伝いを進んでやってくれたおちびちゃん。
時にはわがままを言う妹たちを、優しく辛抱強く面倒を見てくれたおちびちゃん。
目を輝かせて、ゆっくりした家族を作る将来を夢見ていたおちびちゃん。
その未来を、すべて、自分達の手で粉々にしたのだ。
「あれー?何が悲しいのー?なーに泣いてんのー?」
「おぢびぢゃっ、おぢびぢゃんっっ!!ゆぐじでぇぇ!!おがあざんをゆぐじでえええぇぇ」
「いいじゃん別に。ゴミクズなんかどうなったって」
「ごびぐずじゃだいよおおぉぉ!!おぢびぢゃんはごびぐずだんがじゃだいいいぃぃ!!」
「ゴミクズじゃん、お前らが言ったんだよ。あーそうか、ほら」
痙攣している子まりさの頭から、お兄さんはまた帽子を取り上げた。
「ほーら、もうお帽子がないよ。お飾りがなければゴミクズなんだろ?悲しくないだろ?」
「ぢがうっ!!おかっ、おがざりがだぐでも!!がわいいだいじなばりざのおぢびぢゃっ!!」
「へー?そうなんだ。
あのさー、なんで僕に反論してんの?やったのお前らじゃん。なんでやったの?
その子、ずっとお前らをお父さん、お母さんって呼んでたのに」
「ゆぐうぇええええええ!!!」
またも餡子がこみ上げ、吐き出してしまう。
それだけで他の子ゆっくりは息も絶え絶えだった。
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛………」
「あああああおぢびぢゃっ!!だべええ!!あんごばいぢゃだべええええ!!!」
「お飾りをなくすようなゴミクズの家族なんてゆっくりしてないんだろうな。
そう言ってたよな、お前ら。ほら、存分に見たらいいさ。確かにゆっくりしてないね!」
「ゆ゛ぐう゛ーっ!!う゛う゛う゛う゛ーっ!!!」
「ゆっくりできないゆっくりは生きてるだけで罪悪なんだろ?視界に入るだけでも周りが迷惑してたんだろ?
よかったな、これでもうそのゴミクズに悩まされなくてすむぞ!さすがの制裁だったね!」
「おぢびぢゃっ!!おぢびぢゃんはああぁぁぁ!!!」
おちびちゃんはゴミクズなんかじゃない。ゆっくりできないゆっくりなんかじゃない。
そう叫びたかった、否定したかった。
しかし、確かに自分たちがそれを制裁したのだ。
もはや何を言うこともできず、まりさ達はただ泣き叫ぶしかできなかった。
「だじゅげぢぇっ!!だじゅげぢぇええぇ!!おにいじゃああん!!」
「ん?」
末の子れいむが、人間さんに助けを求めていた。
人間さんはゆっくりできるお薬を持っている、いつか言って聞かせたその噂にすがったらしい。
「おにぇえじゃん!!おでえじゃんをだじゅげぢぇええ!!おでがいじばじゅううぅぅ!!」
「なんで助けんの?なんで僕に助けてって頼むの?やったのお前らなのに。ねえねえおかしくない?」
「おでがいじばじゅ!!おでがいじばじゅ!!れいみゅがばぢがっでばじだ!!れいびゅがわるがっぢゃんでじゅ!!
おにいいざああんおでがいじばじゅううううう!!!」
床に頭を打ちつけながら懇願する末っ子れいむ。
その姿を見て、家族たちは目が覚めたように叫び始めた。
「ばりざもっ!!ばりざもばぢがっでばじだ!!ごびぐずじゃありばぜえええん!!」
「でいぶもわるがっだでずううぅぅ!!おぼうじがないだげでいじべでごべんだざいいいいい!!!」
「おぢびぢゃんをなおじでぐだざああああいおにいざんおでがいじばずうううう!!!」
しかし、お兄さんの返答はつれないものだった。
「知らないよそんなの。自分でやったんだろ、自分でなんとかしなよ。
僕は返したもん、あとは関係ないもんね」
「ばりざだぢはぐずだがらっ!!ゆっぐじでぎないがらっ!!おぢびぢゃんだぢをなおじであげらればぜええん!!」
「治さなくていいでしょ、ゴミクズだし。ゴミクズは苛めてもいいんだろ?制裁なんだろ?
というか、これからお前らも僕が制裁するし。お前らゴミクズだからね。これから潰すのにわざわざ治さないだろ?」
「ゆびぃいいいいいっ!!?」
「あ゛っ!!あ゛っ!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!
い゛っ!!いいでずっ!!ばりざはどうなっでもいいでずがら!!でいぶどおぢびぢゃんだげはだずげでぐだざいいい!!」
「でいぶもどうなっでもいいでず!!ぜいっざいっをうげばず!!でもおぢびぢゃ、おぢびぢゃんはあああ!!」
「おーおー、殊勝だこと。でも駄目」
「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「子供だからって見逃す理由はないね。お前達だって小さなおちびちゃん相手にそこまでしたろ?
小さくて弱いからって見逃さない、っていうか、小さくて弱いから苛めるんだもん。お前らもそうだろ?」
「ごべんだざい!!ごべんだざい!!ばりざがげずだっだんでず!!ごべんだざい!!
おかざりがないっていうだけで、よわいものをよろこんでいじべるげずでずっ!!でぼ、でぼ、おぢびぢゃんはあああ!!」
「げずでいぶをぜいっざいっじでぐだざい!!ゆっぐりでぎなぐじでぐだざい!!
でぼ!!おぢびぢゃんだぢだげは!!なにもわがっでないんでず!!でいぶだぢのまねじでだだげなんでずううう!!」
「ふ~~ん……よし、わかった。チャンスをやろう」
「ゆえっ?」
予期せぬ返答に、まりさ達は顔をあげた。
「とりあえず、そのまりさは治してあげよう。ちと手間だが、オレンジジュースとかでなんとかなるだろ。
まあ、まむまむとかはもう使い物にならないだろうが、死にはしないさ」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!あ゛じがどうございばずううううう!!」
「………後になって「やっぱり死なせておけばよかった」なんて言っても知らないけどね」
「ゆ゛!?ゆ゛ゆ゛う゛ぅ!!がんばりばずっ!!
ばりざだぢがぜぎにんをぼっでおぢびぢゃんをゆっぐじざぜばずううう!!!」
「そういう意味じゃないんだけどね。
で、チャンスというのは、お前達が弱い者苛めを二度としなければ、ってこと。
弱いからって苛めたり痛めつけたりしない、本当に他ゆんを思いやるゆっくりになれたなら、
感服いたしましたってことで、僕もお前達をもう苛めない。森に返してあげよう」
「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!あじがどうございばずう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!
ばりざだぢばんぜいじでばずっ!!ぼうにどどいぎぼのをいじべだりじばぜええええん!!
おにいざんっ、ぼんどうに!!ぼんどうにぼんどうにあじがどうございばずう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛」
まりさ達家族は、床に頭を押し付けて何度も何度も礼を述べた。
お兄さんが子まりさを取り上げて家の中に引っ込んでいくまで、まりさ達は頭を下げ続けていた。
―――――――
子まりさの治療には手間がかかった。
小麦粉と餡子とオレンジジュースの三種の神器があれば、生命維持自体はたやすい。
しかし細かい修復となると話は違ってくる。
体中の無数の穴は、オレンジジュースに漬けてから小麦粉を塗りこむ程度で済む。
あにゃるのほうは単純な穴があればいいので簡単だが、
ぺにぺに、まむまむ周辺の器官は完全に破壊されており、機能を修復させるには至らなかった。
さんざんに蹂躙された左目は、眼窩がぼろぼろに崩れており、球体を収めるスペース自体がもうない。
ここは餡子を詰め、完全に小麦粉で穴をふさいでしまった。
こじり抜かれた歯は、面倒なので放っておいた。
結果から言えば、子まりさは一命をとりとめた。
しかし、全身に痛々しい傷跡が残り、左目が消失し、口はほとんどがスキッ歯となり、
まむまむとあにゃるは締める機能が失われ、しーしーとうんうんを意思とは関係なしに垂れ流す、
大変ゆっくりしていない姿になってしまった。
まあ、この方がいいだろう。
机の上に敷かれたハンカチの上で、寝苦しそうにうなされる子まりさを眺めながら、
僕は煙草に火をつけた。
禁煙を解き、五年ぶりに吸う煙草の紫煙を肺にたっぷりと染み込ませる。
「これでやっと下拵えが終わったよ、ありす」
僕は呟いた。
子まりさのさらに奥、机の上の写真立てに納まった一葉の写真。
そこには僕と、金バッジをつけたゆっくりありすが頬を寄せ合って写っている。
金バッジのありすが姿を消したのは、一昨日のキャンプのことだった。
連休を利用し、ゆっくり同伴で湖畔のキャンプに赴いた。
躾の行き届いた、しかし子供っぽい可愛げも併せ持った僕のありすは、
「とかいは」を連呼しながら楽しげにはしゃぎまわり、僕に何度もお礼を言っていた。
そのありすが、ちょっと目を離した隙にいなくなっていた。
お飾りのカチューシャのほうはすぐに見つかった。
急坂の坂道の中途で雑草に引っかかっており、ありすは坂道を転げ落ちていったのかと思われた。
夜を徹して森中を探した。
夜明けまでかかってさんざん探したあげく、ついに点々と地面に染み込んだカスタードの跡を見つけ、
それをたどっていくうちに、このゆっくり共の家に行き着いた。
入り口のバリケードを開くと、そこにはありすがいた。
否、ありすだったものがあった。
「むーしゃむーしゃ!!むーしゃむーしゃ!!しあわせーっ☆」
ゆっくり共が群がり咀嚼しているその表面には、痛々しい大小何十、あるいは何百もの傷が刻み付けられており、
いまだ残っている顔面には枝が何本も突き刺さってこのうえもない苦痛を浮かび上がらせていた。
夜を徹して陵辱されていたのか。
どれだけ苦しかったろう。どれだけ私に救いを求めただろう。
「ゆっ?おにーさん、ここはまりさのおうちだよっ!ゆっくりしていってねっ!!」
家長らしきまりさが、罪悪感の欠片もない陽性の笑顔を僕に向けて叫んだ。
「おかざりがなくてゆっくりできないごみくずをせいっさいっしてたんだよっ!!」
僕の質問に対し、ゆっくりの家族は明るく笑ってそう答えた。
そうか。
僕はそのとき、心を決めた。
〔続〕
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