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ぶぶぶぶぶぶ… 何やら足元から変な音が聞こえてくる。 何かの虫かと思い、音のする方に目をやると、そこには一匹のゆっくりがいた。 ぶぶぶぶぶ…ぶぶぶぶ! 色あせた薄汚いリボンをつけたゆっくり。 確かれいむとか言うゆっくりだった気がする。 ゴミのような汚さから野良ゆっくりだと思われるが、妙に太っているように見えるのは気のせいだろうか。 まあそんな事よりも、問題はその状態だ。 何故変な音を出しているのかとよく見てると、何者かに踏まれたのか、口があったと思われる部分が靴跡の形に凹んでいた。 すすけた肌色に混ざって、黒い物や、白い物が顔を覗かせている。 おそらく踏まれた時に砕けた歯が、皮を突き破ったのだろう。 ぶぶぶぶ…ぶぶぶぶ…ぶぶぶぶっ?! 俺が観察していた事に気がついて、俺の顔を見上げて驚く野良ゆっくり。 しばらく固まって動かなかったが、突然ガタガタと震えだしたかと思うと、体を重そうに引きずりながら俺から遠ざかっていく。 最近このあたりで、似たような野良が増えているとニュースでやっていた。 俺も実際見るのは初めてだったのだが、誰かが野良ゆっくりの口を踏み潰しているらしい。 心理学者が心の歪みだとか色々と語っていたが、所詮は野良ゆっくり。 ゴミ以下の存在に同情する人間は、少し変わった愛護団体くらいだろう。 よく注意して見てみると、歩道の隅に通行人を見上げるゆっくりの親子と思われるものを見つけた。 ぶぶぶぶぶ!ぶぶぶぶぶ!ぶぶ! ブブ…ブブ…ブ… ブブ… やはりあれも野良だと思われる、黒い帽子をかぶった親子のゆっくり達。 涙を流しながら通行人を見上げて、体をグネグネと動かす親ゆっくり。 その隣で、同じようにグネグネと体を伸ばす子ゆっくり。 二匹のすぐ前では同じ格好の子ゆっくりが、青い顔でぐったりと横たわっている。 通行人に助けを求めているのだろうか。 だが先程の野良ゆっくりと同じく、口が潰されている為に声が出ていない。 ウネウネ、グネグネと激しく動いて通行人に何かを訴え、行きかう人々を悲しそうな目で追っては、体を震わせて涙を流している。 親の真似をするように動いていた子ゆっくりは、悔しそうに両目を瞑って下を向いて震え始める。 しばらくすると、下を向いて震えていた子ゆっくりが、通行人の前に飛び出してお下げをブンブンと振り始めた。 ブブブッ!ブブブ!ブブブ!! ドカッ! ブブッ!! だが、足元の石ころ程度の存在に気がつく人間はそうはいない。 通行人は子ゆっくりを蹴飛ばした事にも気がつかず、そのまま何事もなかったかのように先に進んでいく。 ブブッ!ブブブブブゥ!! ボールのようにコロコロと転がりながら、何かを周囲に撒き散らしていく子ゆっくり。 ぶぶぶ!ぶぶぶぶぶぶ!! そんな子ゆっくりを、親ゆっくりは慌てて追いかけ始める。 ブブッ! ぶぶぅ?! 親ゆっくりの目の前で、再び通行人に蹴られる子ゆっくり。 今度はおそらく故意で蹴ったのだと思われる。 歩道の隅の植え込みの方に、邪魔な子ゆっくりを足で払うように転がしたのだろう。 ブ…ブ…ブ… ぶぶぶぶぶ!ぶぶぶぶぶぶ!ぶぶぶぶぶぶ!! 蹴られた子ゆっくりに、ようやく追いついた親ゆっくり。 両目を見開いてガタガタと震える子ゆっくりを見て、悲しそうに目を瞑ると、空を見上げるように仰け反りながら自身も震えだす。 そういえば、あのニュースでゆっくり研究家がインタビューを受けていた事を思い出した。 ゆっくりの口を潰すという、一見単純なこの行為。 たったこれだけの事で、ゴミ漁りを出来なくする、歌えなくする、騒げなくする等、ゆっくりの行動を大幅に制約する事が出来ると感心していた。 顔面だけの不思議饅頭。 動かせる部位が少ないゆっくりにとって、口を潰されるというのはどんな気持ちなのだろうか。 そんな事を考えていると、一匹の野良ゆっくりらしき物が目の前に現れた。 「ゆゆ?!くそにんげん!さっさとでいぶをかい 『ぐちゃ!』 びゅぶ?!」 俺を見上げてニヤニヤ笑うと、大きな声で騒ぎ始める野良ゆっくり。 俺は他の誰かに習い、野良ゆっくり口だけを踏み潰してその場を後にする。 これで町が、少しでも静かになれば良いと思う。 完 徒然あき ---- #pcomment(./comment,reply)