anko1744 よわいものいじめはゆっくりできないよ!(中編-1)

Last-modified: Wed, 20 Jul 2016 04:46:21 JST (2831d)
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anko1548 よわいものいじめはゆっくりできないよ!(前編)

「まりしゃのゆっくちしちゃしぇいっしゃいっ!をうけてにぇっ!!
ぐーり!ぐーり!!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛いだいいだいいだいいぃぃ!!
やべ!!やべでえええやべでぐだざいいい!!
ごんなのどがいばじゃだいいいいいい!!!」
「ゆぷぷっ☆ごみくずがいっちょまえにいたがってるよっ!!
みんな、みてみて!!ゆっくりしてないおかおでおもしろいよぉ~~!!」
「ゆーっぷぷぷ!!しゅっごいばきゃづらだにぇ~!!
ゆゆっ!?きょれぐりゃいでちーちーもらしちぇるよっ!!」
「ゆっきゃきゃきゃっ!!ちーちーありちゅっ!!ゆっくちしちぇにゃいにぇ~~♪」
「かわいいれいむがおめめをつぶしちゃうよ~?ほーら!ほーら!」
「ゆびぃいいいいゆぐじで!!ゆぐじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!
やべでっ!!ごんなっ!!ごんなのまぢがっでるわっ!!
おぢびぢゃんだぢっ!!ごんなゆっぐりでぎないごどやべでっ、
いっじょに!!いっじょにゆっぐじじばじょう!?」
「ゆぴゃぴゃぴゃ!!くしょぶきゅろがにゃにかいっちぇるよぉぉ~~!!」
「ゆがーっ!!れいむのおちびちゃんにきやすくはなしかけないでねっ!!
ごみくずのくせに!!ごみくずのくせにいぃ!!」
「あ゛ーっ!!あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーっ!!?あんよざんがっ!!あんよざんやべでえぇぇ!!
だじゅげでっ!!だずげでおにいいざあああああん!!」
「こにょおかじゃりがにゃいごみくじゅめ!!
まりしゃのすーぱーしぇいっしゃいったいみゅでゆっくりさせちぇやりゅよっ!!
ゆーっ!!ゆーっ!!」

「ゆびゃあああああん!!たしゅけちぇええええ!!」
「おい、まりさ」
「いちゃいいちゃいしにゃいでぇぇ!!まりちゃをいじめにゃいでよおおぉ!!」
「聞けって、まりさ。家族のところに帰してほしいか?」
「ゆゆっ!?かえしちぇくれるにょっ!?
おにいしゃんありがちょう!はやきゅ~~!!」
「でも、お父さんもお母さんももう逃げ出しちゃってるかもしれないぞ~」
「ゆーっ!?しょんなわきぇにゃいよっ!!
おちょーしゃんもおきゃーしゃんも、まりちゃのこちょがとっちぇもきゃわいいんだよ!!
じぇったいまりしゃをたしゅけにきちぇくれりゅよっ!!」
「だって来ないじゃん。人間が怖くて、しーしー漏らして逃げ帰っちゃったんじゃない?
お前達ゴミクズなんて薄情だもんなあ、子供なんてさっさと見捨てるだろ」
「おちょーしゃんはじぇったいまりしゃをみしゅてにゃいもんっ!!ぷきゅーっ!!
おにーしゃんはへんにゃこちょいわにゃいでにぇ!!まりしゃおこりゅよっ!?」
「だって、さっき僕がお前をさらったときも助けなかったじゃん。なんでだろうね?」
「ゆゆっ!?ゆ……ゆー……きっちょ、ちゃんすしゃんをまっちぇたんだよ!!」
「そうかなー。あれは、いつお前を見捨てて逃げ出そうかとタイミングを見計らってる目だったけどなあ」
「ゆんやーっ!?へんにゃこちょいわにゃいでにぇ!!へんにゃこちょいわにゃいでよぉぉ!!
おちょーしゃんはまりしゃをゆっくちしちゃこだっちぇいってちゃもんっ!!みしゅてにゃいもん!!」
「ホントかな~~。都合が悪くなれば子供なんてさっさと捨てるのがゆっくりだしな~~。
たとえばさー、こうなったら……?」
「ゆっ!!?ゆやあああぁぁ!!おぼうちしゃん!!まりしゃのゆっくちしちゃおぼうちしゃんっ!!
かえちてにぇ!!かえちてにぇ!!まりしゃのおぼうちしゃんかえちちぇえええぇぇ!!」
「こんなふうにお飾りがなくなってゆっくりできなくなったら、お父さんもお母さんもお前を見捨てるんじゃないかい?」
「ゆゆーっ!!しょんなこちょにゃいよ!!
まりしゃはゆっくちしちぇるもん!!おかじゃりがにゃいごみくじゅとはちぎゃうもん!!」
「だから、お飾りがなくなってんじゃん」
「おかじゃりがにゃくちぇもごみくじゅじゃにゃいもん!!おちょーしゃんもおきゃーしゃんもしっちぇるもん!!
まりちゃはゆっくちしちぇるっちぇ!!みゃいにちねるみゃえに、そういっちぇしゅーりしゅーりしちぇくれりゅもん!!!」
「眉毛キリッて……自信あるのね。
そうかー、ごめんな。お兄さん意地悪言っちゃったよ!じゃあ、お父さんとお母さんのところに帰してあげような!」
「ゆゆっ!?おぼうち!!おぼうち!!おぼうちしゃんかえしちぇよおおぉぉ!!」
「さ、ここから帰りな。家族と仲良くやれよ!」
「ゆーっ!!まりしゃのおぼうちしゃああん!!
ゆんやああああおちょーしゃあああん!!おきゃーしゃん!!きょわかっちゃよおおぉ!!」

「ゆんびゃああああぁぁ!!やべぢぇえええええ!!どぼぢぢぇごんにゃごぢょじゅるにょおおお!!?
ばりじゃだよおおおぉぉ!!おねーじゃんっ!!いぼうどぢゃんっ!!にゃかよちのばりじゃだよおおおぉぉ!!」
「うるちゃいよっ!!ごみくじゅはだまっちぇにぇ!!」
「ぷーすぷーす!!ぷーすぷーす!!だよっ!!」
「いぢゃいぢゃいぢゃい!!いぢゃいよおおおぉぉ!!だじゅげぢぇおぎゃーじゃああぁぁん!!おぢょーじゃあああ!!」
「まだれいむをおかあさんってよぶのおぉ!!?
ずうずうしいこだよ!!いいかげんにしてねっ!!ぐーりぐーり!!」
「ゆごぎょおおおおおおいぎゃああああああおべべぐりぐりじにゃいでえええぇぇ!!!」
「おまえなんかにおとうさんとよばれるなんてまりさのおてんっ!だよっ!!
まりさがおまえなんかのおやにみえるのおぉ!?
ごみくずのおちびちゃんなんかつくる、ゆっくりしてないくずまりさにみえるっていうのおお!!?
とりけしてねっ!!とりけせぇぇ!!」
「ゆ゛あ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「ゆゆっ!れいむ、いいことをおもいついたよっ!!みんなでごみくずをゆーさゆーさしようねっ!!」
「ゆーっ?ゆっくりりかいしたよ!!」
「ゆっ?ゆっ?やめぢぇね!?にゃ、にゃにしゅるにょおおおぉ!!?
ゆーっ!ゆぅーっ!!ゆーさゆーさ、しにゃい、でっ、ゆっ、ゆっ、ゆぐっ、ゆっ、ゆふほぉぉ!?」
「ゆゆっ!!ごみくずのおそまつなぺにぺにさんがでてきたよっ!!」
「ゆんやああああぁぁ!!?みにゃいで!!みにゃいで!!みにゃいでよおおぉぉ!!!」
「ゆーっ、みてるだけではきけがするうすぎたないぺにぺにさんだね。
ちびのくせにもうれいぱーなんて、いきててはずかしくないの?ばかなの?ほんもののばかなの?なんでいきてるの?」
「「「ぴぇーにぴぇーに!!ぎーんぎーん!!ゆっぴゃっぴゃ~~♪」」」
「いや゛っ、ゆぐっ、ゆぐぇえええええん………どぼっ、どぼぢぢぇ………
ばりじゃ………れいびゃーなんがじゃ、だいよおぉぉ………やべぢぇよおぉ………おでがいぢゃがりゃああああ………」
「ゆふふ、あんしんしてね、ごみくずさん!
おまえみたいなゆっくりできないごみくずがもううまれないように、ぺにぺにさんをせいっさいっしてあげようね!!」
「うあっ?あ゛っ!?ゆ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!やべぢぇえええええええ!!!
おでぎゃいっ!!やべぢぇっ!!あがぢゃっ!!あがぢゃんぢゅぐれにゃぐにゃっぢゃうううう!!
いや゛っ!!い゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!がわいいあがぢゃんぢゅぐっぢぇ!!おぎゃーじゃんにみじぇでっ!!
おどーぢゃんど、おぎゃーぢゃんどっ!!ばりじゃどっ!!あがぢゃっ!!
みんにゃでゆっぐぢっ!!ばりぢゃの、ゆべっ!!ゆめにゃのにいいぃぃぃ!!!やべでええええおぎゃーじゃああああ!!!」
「ゆふー。れいむ、ごみくずをだまらせてあげてねっ☆」
「ぷーす!ぷーすっ!だよぉ~~♪」
「ゆ゛んっぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!」

「んーまあ、こんなもんかな。おい、まりさ、生きてっか?」
「………………………」
「もしもーし?治療できた?お、こっち見たな。生きてりゃいいか。聞こえる?僕の言ってることわかるか?」
「………………………」
「しかしひどくやられたもんだな。まさかここまでやるとは思わなかったよ。
ぺにぺにの先から突き刺すなんてぞっとするわ。お前らに比べたら、僕の虐待なんてまだまだだなあ」
「………………………」
「口聞く元気もないか。そりゃそうだな、実の親にあそこまでやられちゃな。
まあ、お前も自分がやられる立場になってさすがにわかったろ。
飾りがないからゆっくりできないってお前ら言うけど、
飾りがなくたって、心も思い出も家族もある、どこにでもいる普通のゆっくりなんだぜ。お前と同じさ」
「………………………ち、ぎゃ………」
「ん?あ、もう喋れるの?なんだよ」
「………ちぎゃ……ぅ………ば……り……」
「落ち着いてゆっくり喋っていいぞ」
「………………ばりじゃ…………ちぎゃ………ごびぐ、ずじゃ………ない……」
「………お前ね、あれだけやられてまだ言ってんのか。
家族全員がゴミクズ認定してたじゃないか。飾りがなければ無条件でゴミクズ扱いするのがゆっくりなんだよ。
毎日一緒にゆっくりしてたお前でも、だ」
「……………ちぎゃ、う………おどー、ぢゃ………おがー………ばぢがえ、だん、……だよ……
ぼがの………ごびぐずど………うっがり、じぢゃ…………っだん……だよ……」
「お前、…………驚いたな、ここまでされてもまだ信じられるのか」
「おぼうぢじゃん………おぼうぢ、じゃんが、ながっだがら………」
「信じるっていうより、藁にもすがる思いってとこかな、こりゃ。
でもさー、それじゃ、あいつらが言ってる「かわいいおちびちゃん」ってのは、
つまるところ、帽子ってことにならない?」
「ゆ゛?」
「だって帽子しか見てないじゃん。たった今ここでゆーゆー呻いてるお前なんかどうでもいいわけだろ。
単純な引き算だな、おちびちゃんマイナスお帽子イコールゴミクズ、と。
そうか、じゃ、この帽子イコールまりさを返してやればおちびちゃんが全員揃うわけだ。なーんだ、簡単にハッピーエンドじゃん。
じゃあこの帽子返してくるから、お前もういらないから。潰していいよな?」
「ゆ゛!?や゛っ!!や゛だや゛だや゛だあぁぁぁ!!じにぢゃぐにゃい!!じにぢゃぐにゃいいい!!」
「別にまりさは死なないよ、返すから。まりさのオマケのゴミクズは傷だらけになっちゃったから捨てようね~~」
「あ゛ーっ!!?あ゛あ゛ーっ!!ぢがうっ!!ばりじゃはばりじゃだよおおぉぉ!!おぼうぢじゃんじゃにゃいよおおぉぉ!!」
「ふ~ん?本当?お父さんたちに聞いてみよっか?このお帽子とお前、どっちがまりさかって」
「ばりじゃはばりじゃだよっ!!ばりじゃはばりじゃだよ!!ばりじゃはばりじゃだよおおおおぉぉぉ!!!」

―――――――

「ほんとっ!?おにいさん!!
おちびちゃんゆっくりなおったのおぉ!?」
「ああ、なんとか治った。まあ、全快とはいかないが……」
「ゆ、ゆゆううぅ……」
「まりさ……でも、でも、えいえんにゆっくりしなくてよかったよ!
ゆっくりいきてさえいれば、またゆっくりさせてあげられるよっ!!」
「ゆーっ、そうだね……ゆっくりがんばろうね!!
おにいさんっ!!おちびちゃんをなおしてくれてありがとうございますううぅ!!」
「ほんとうにありがとうございますうぅ!!このごおんさんはいっしょうわずればぜんっ!!」
「じゃ、早速会うかい?」
「ゆっ、ゆゆぅぅ……れいむ、こころのじゅんびさんはできてる?」
「ゆぅ、きがおもいね……あんなにひどいことしちゃったもんね……
おちびちゃん、おかあさんをゆるしてくれないよね……」
「みんにゃでごめんにゃしゃいしゅれば、きっちょゆるちてくれりゅよっ!!」
「しょーだよ!!いっぴゃいごめんにゃしゃいしちゃらゆるちてくれりゅよ!!
だっちぇまりちゃおにぇーしゃんは、とっちぇもゆっくちしちぇるもんっ!!ね、おきゃーしゃん!!」
「お、おちびちゃんたち………
ゆっ……そうだね………れいむたちはかぞくだもんね!」
「こんかいのことは、まりさおとーさんがいっしょうせきっにんっ!をもって、
おちびちゃんをゆっくりさせるよ。
おちびちゃんにみんなでいっぱいあやまって、またかぞくでいっしょにゆっくりしようね。
まりさたちは、もりでもじまんのなかよしかぞくっ!だからね!!」
「ゆゆゆゆ~~っ!!」
「そうか。じゃ、連れてきていいんだな?」
「ゆっ!!ゆっくりおちびちゃんにあわせてねっ!!!」

家族で口を揃えて叫ぶと、お兄さんは深くうなずき、家の中に入っていった。

「ゆゆ、きんちょうっするね……」
「みんな、おちびちゃんをゆっくりさせてあげてね!!」
「ゆっくちりきゃいしちぇりゅよっ!!おきゃーしゃんはしんぴゃいしょうだよ!!」

すぐに引き戸が開き、お兄さんがまた出てきた。
その手には……見紛うことなき、ゆっくりした子まりさが乗っていた。

「さあ、ご対面だ」

お兄さんが屈み込み、手に乗せていた子まりさを床に置く。

「ゆっくりしていってねっ!!」
「…………ゆわああああぁぁ………………!!!」

まりさ達は呻いた。
苦悶からではない、喜びと驚嘆からだった。

子まりさは全快していた。
あれほどに深く傷つけられていた全身も、
何本も折られ抜かれた歯も、えぐり出した左目も、すべてきれいに再生している。
そして、なんの屈託もない、太陽のように明るくてゆっくりした笑顔で、
ころころと可愛い声を転がし、眩いばかりのゆっくりした挨拶をしてくれたのだ。
あんなにゆっくりできないことをした家族に向かって。

「おとうさん、おかあさん?ゆっくりしていってね!!」
「「ゆ、ゆゆっ…………ゆっくりしていってねえええぇ!!!」」

うれし涙を流し、れいむとまりさは全身の力を込めて挨拶を返した。

「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!
まりさといっしょにゆっくりしようねっ!!」

大喜びで跳ね回り、嬉しくてたまらないという様子で何度も挨拶する子まりさ。
まるで大輪の花のごとく咲き乱れるわが子を、姉妹を、
家族全員が踊らんばかりにして出迎え、何度も何度も挨拶を返した。

「「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」」」
「おにぇーちゃん、ゆっくちしちぇる!!ゆっくちしちぇるよおおぉ!!」
「ごめんねっ!!ごめんねぇ!!おちびちゃんっ、おちびちゃああぁん!!
あんなゆっくりできないことをしたおかあさんをゆるしてねえぇ!!」
「ゆっ?なんのこと?」
「ゆゆゆゆっ!!?
だ、だって……あんなことしたよ……おかあさんたち……」
「おちびちゃん!!ゆっくりだいじょうぶなの!?
もう、どこもいたくない!?ゆっくりできないところはないっ!!?」
「ゆーっ!!まりさ、ゆっくりしてるよお~~!!
いたかったけど、もうだいじょうぶだよっ!!
しんぱいしてくれてありがとうね!!おとうさんとおかあさんはゆっくりしてるね!!」
「あ、あああ………ゆるして……ゆるしてくれるんだね……
おちびちゃんはやさしいね……ゆぐっ、ゆっ……ありがとう……あじがどうぅ………!!」
「ゆゆっ?すーり、すーり!!ゆっくりできるよぉ~~!!」

感涙にむせびながら頬をすり寄せてくる親れいむに、子まりさはまた破顔する。

「ありがとう!!ありがとう!!おちびちゃん、ゆっくりね!!ゆっくりしようねぇ!!」
「ずっと、いっしょだよ……だいじなだいじなおちびちゃん………
おかあさんと、ずっとゆっくり………ありがとう……うまれてきてくれてありがとうね……」
「おにぇーちゃん、ゆっくちーっ!!ゆっくち!!ゆっくち!!」
「れいみゅうれちいよぉ!!まりちゃがゆっくちしちぇるちょみんにゃがゆっくちだよぉ~~☆」
「ゆーっ、いもうとたちがいっぱいだね~~!!
みんなでゆっくり~~♪ゆっくりしていってね~~♪」
「「「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ~~~!!」」」」

子まりさを中心に、家族みんなが集まって存分にすーりすーりを交わす。
家族にとってかつてないほどの喜びがそこにあった。
ひとしきり涙ながらのすーりすーりを味わってから、
親まりさがその輪から離れ、お兄さんに向きなおって頭を下げた。

「おにいさん………ほんとうに、ほんとうにありがとうございます。
ゆっくりできないまりさの、ゆっくりしたおちびちゃんをたすけてくれて、ありがとうございます」
「ゆっ!!そうだよっ!!おにいさああんありがとおおおおお!!!」

親れいむも飛び出し、お兄さんに何度も頭を下げた。

「にんげんさんはゆっくりしてるよ!!
あんなにゆっくりできてなかったおちびちゃんをなおしてくれてありがとう!!ありがとう!!
ゆっくりかんしゃしますっ!!いっしょうごおんはわすれませええん!!!」
「いや、大したことじゃないさ。なあ、ちゃんと治ってるかな?
ちょっと自信がないんだ。隅々までよくチェックしてくれないか?」
「ゆゆっ!!ゆっくりりかいしたよ!!じーろ、じーろ」
「じーろ、じーろ!」
「「「じーりょ、じーりょ。じーりょ、じーりょ」」」

家族で子まりさを取り囲み、目をこらしてその体をまじまじと見つめる。

「ゆゆっ?まりさ、はずかしいよっ!!じーろじーろしないでね!!」
「おちびちゃん、ゆっくりがまんしてね!!
おちびちゃんがゆっくりできてるかどうかかくっにんっだよっ!!」
「ゆっくりりかいしたよ♪かくっにんっ!かくっにんっ!」
「ゆーっ!!ゆっくりできてるよぉ~~!!」

さんざんチェックして満足したまりさが叫んだ。

「本当に大丈夫かい?どこか傷になっているところはないか?」
「ゆっ!どこにもないよっ!!ぴっかぴかのおはださんだよっ!!」
「肌?」
「まりさおちびちゃんのおはださんは、みずみずしいつるつるすべすべおはださんだよっ!!」
「髪はどうだい?足りなくないか?」
「ゆっくりだいじょうぶだよ!!きゅーてぃくるできらきらした、さらさらきんぱつさんだよ!!」
「お目目はどうだい。ちゃんとしてるか?」
「ぱっちりくりくり、ほうせきさんみたいにかがやくおめめ!みてるだけでまぶしいねっ!!」
「歯は?治せてるか?」
「すっごくゆっくりしてるよぉぉ~~!!しんじゅさんのようにひかりかがやいてるよ!!
どこからどうみても、あのゆっくりしていたおちびちゃんだよぉぉぉぉ!!!おにいさんありがとおおぉぉ!!」
「あっそ。それ、まりさじゃないけどね」

「「「「ゆっ?」」」」

―――――――

本物の子まりさを連れていき、家族の前に置いてやる。

「はい、本物のまりさ」
「ゆっ?」

目の前に置かれた我が子を見て、家族はきょとんと口を半開きにしていた。

「で、これはただの野良ゆっくり。しかもまりさじゃなくてれいむ。しかも成体」
「ゆっ?ゆゆゆ??」

野良れいむの頭から子まりさの帽子を取り上げて、本来の持ち主の頭に戻してやる。
野良れいむが騒ぎはじめた。

「ゆゆっ!!ゆゆゆっ!!かえしてね!!まりさのおぼうしさんかえしてねぇ!!」
「お前の帽子じゃねーだろ。ああ、もう演技はいいよ、れいむ」
「ゆーっ!!?れ、れれれれれいむじゃないよ!!れいむはれいむじゃないよ!!れいむはまりさだよっ!!」
「はいはい、ゆっくりゆっくり」
「ゆ?ゆゆ?ゆゆゆゆゆぅぅ!?」

状況が認識できないようで、家族は野良れいむと子まりさを交互に見ながらぐるぐると目を回している。

それはそうだろう。
ついさっきまで愛しい我が子だと思って頬ずりしていたゆっくりが、
実は子まりさでもなんでもなく、
全身にカビと汚れをこびりつかせた成体の野良れいむだったのだから。

そして、今帽子をかぶって目の前に立っている子まりさは、
体中生々しい傷痕だらけで、左目にあたる部分はまっさらに埋められ、
歯軋りしている口内はほとんど隙間だらけ、挙句の果てにまむまむからしーしーをちょろちょろと垂れ流していた。

認めたくない要素しかない現実を目の前に突きつけられ、
完全にパニックを起こして硬直している家族の前で手を叩き合わせ、我に返らせる。

パァン!!

「ゆ゛っ!?」
「起きてるか、おい?」
「ゆっ!!ゆゆゆっ!?おに!!おにいさっ!?これ、これはどういうっ」
「ああ説明してあげます。
こいつはそのへんで拾ってきたただの野良。まあ、比較的頭のいいやつを探して用意してあったんだけどね。
リボンが千切れてなくなったとかで苛められて、ずっと一人で生きてたんだとさ。
この帽子をかぶってまりさになりすませば、飾りも手に入るし、あったかい家族も迎えてくれるぞって言ってやったら、
大喜びで僕のイタズラに協力してくれたよ」
「ゆ゛!!ゆ゛んや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?
どぼじでばらじじゃうのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!???」
「いやー、あっはっは。面白かったね!」
「や゛っど!!や゛っどゆっぐじでぎるどおぼっだどにいいいいいい!!!
いっじょにゆっぐじじでぐれるがぞぐがでぎるどおぼっだどにいいいいいいいい!!!
や゛だ!!ぼうびどりぼっぢはや゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「このクソ汚い、大きさも全然違う野良れいむを、お父さんとお母さんは君だと思ってすーりすーりしていたわけだけど。
気分はどうだい、まりさ?」

子まりさは答えない。
しかし、全身をぶるぶると震わせているのが見てとれた。

「瑞々しいつるつるすべすべのお肌。
キューティクルでさらさらした金髪。
宝石みたいに輝くお目目。
帽子を乗せただけでこの言われようだ。なーんだ、やっぱり帽子がまりさなんじゃん!
お前、いらないじゃん!ゴミクズじゃん!」
「あ゛っ………あ゛っ………………あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

両親がわめき始めた。
自分達がこの子まりさの前で演じた茶番劇、その意味するところがようやくわかったらしい。

「ぢがうっ!!ぢがうっ!!ぢがうっ!!ぢがうううううぅぅ!!
おぢっ!!おぢびぢゃんぢがうのおおおおおおぉぉぉぉ!!!」
「なーにが違うんだか。こんな汚い、しかもれいむをあんなにゆっくりしてると褒めてたくせに。
帽子だけありゃいいんだろお前ら?ほら、これでこいつがおちびちゃんだぞ」
「ゆぐっ……ゆぐっ……ゆぇ?ゆっ、ゆゆゆっ!!
まりさだよっ!!れいむはまりさだよっ!!おとーさん、おかーさんっ!!ゆっくりしていってねぇぇ!!」

再び子まりさの帽子を取り上げ、野良れいむの頭に載せてやる。

「ぢがうっ!!ぢがうよおぉ!!ぞいづはおぢびぢゃんじゃだいよおおぉぉ!!」
「なんでー?さっきあんなにおちびちゃんおちびちゃん言ってたじゃん。
こっちはいらないよね?ねえねえまりさ、お前もういらないってさ。どんな気持ち?どんな気持ち?」
「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぢがうの!!ぢがうのおおぉぉ!!
おぢびじゃんっ!!ぎいでっ!!おがあざんのばなじをゆっぐじぎいでねえええぇ!!?」

目の前で帽子を移動させればこのとおり判別がつくのに、
最初から子まりさの帽子をかぶせてあればなんでも子まりさに見えるらしい。
しかも、これだけ大きさも外見も違う成体のれいむを、たしかに子まりさと認識していた。

つくづく、ゆっくりの認識基準というものがさっぱりわからない。
最初に帽子を見て識別したら、あとは適当に認識しているのだろうか。
せいぜい目がある、口がある、髪がある、程度の認識だろうか?
そして、いざそれが自分の子供だと思えば、目も口も髪もすべてリアルタイムで美化されまくって認識されるというわけか。
思い込みの生き物だと言われているゆっくり、そういうものなのかもしれない。
ともあれ、無理に理解しようとしない方がいいだろう。あまりにも人間と違いすぎる。
こいつらの目に映っている景色と人間が見ている景色は、実は全く違うものなのだろう。

林立するビル群は「灰色の山」、道路を行き交う車は「大きい人間さんのすぃー(車のついた板)」、
ぼんやりした色とりどりの巨人(人間)がうろついている中で、
下部に目口のある饅頭をくっつけた帽子が動き回っている世界。
想像して少し気分が悪くなった。よそう。

そういえば、子まりさがさっきから喋っていない。

「おかあさんのおはなしをきいてねっ!?ねっ!?おちびちゃんっ!!
ちがうよっ!!ちょっとかんちがいしてただけだよっ!!あんなのおちびちゃんじゃないよおおぉ!!」
「きいてねっ!!おちびちゃんっ!!
そのっ、あのっ、だれにでもまちがいはあるんだよっ!!おと、おとーさんにもあるよっ!!
ちょっとだけ、ちょっとだけまちがえちゃったんだよっ!!ごめんね、おちびちゃん!!
おねがいだからおへんじしてえぇ!!」
「…………ゆ゛っぐぢだばりぇえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」

こっちが気圧されるほどの咆哮が子まりさの口から発せられた。

「ゆ゛びぃっ!!?」
「なにぎゃおぢびじゃんだっ!!なにぎゃおがあじゃんだ!!おどうじゃんだっ!!
おぼうぢじがみでにゃいじゃにゃいがっ!!ごのおぼうぢがづいでれびゃ、なんでみょばりじゃっ!!
おぼうぢがなげれびゃ、ばりじゃはごびぐじゅにゃんじゃにゃいがあああああぁあ!!!」
「お、おぢびぢゃっ………ゆっぐ、ゆっぐりおぢづいでねっ!?」
「だばりぇだばりぇだばりぇえええぇぇ!!
ごんにゃぼの!!ごんにゃぼにょおおおお!!」

子まりさは自分の帽子を床に叩きつけ、ぼんぼん踏みつけはじめた。

「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おぢびぢゃんなにじでるのおおおおお!!?」
「だりぇがおぢびじゃんだ!!おぼうぢじがみでにゃいぐぜに!!
ばりじゃなんじぇいらにゃいぐぜに!!おぼうじじがぼじぐにゃいぐぜに!!
ごろじでやりゅっ!!おばえらのおぢびぢゃんにゃんがじぇいっじゃいじでやりゅっ!!
ぢにぇっ!!ばりじゃよりだいじにゃおぼうじにゃんがぢにぇぇ!!!」
「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛やべでね!!やべでね!!おぢびぢゃああん!!」
「ゆんやああああああやべでええええ!!
ぞのおぼうじざんがないどでいぶがおぢびじゃんになれないよおおぉぉぉゆびぇ!!!」

全く空気の読めていない野良れいむをつまみ上げて家の中に放り込む。

しかし、自分でやったこととはいえなかなか珍しい光景だ。
自分の飾りを、殺意をこめて壊しにかかるゆっくり、しかもほんの子供。
あることないことさんざん吹きこんで親への疑念を植え付けてやったとはいうものの、ここまで効果覿面とは。
ゆっくりを洗脳するのは恐ろしく簡単なんじゃないだろうか?

「ゆぐぎぎぎいいいいいい!!!」

自らの帽子に歯を突き立て、引き裂きにかかっている。いよいよ本気だ。
家族は恐慌をきたして必死に止めようとしている。

「やべでっ!!やべでえええ!!おぢびぢゃああああんどぼじでぞんなごどおおお!!」
「おがざりがないどゆっぐりでぎだいよおおおおお!!?」
「しょうだよにぇっ!!ゆっくちできにゃいよにぇっ!!!」

憎しみを込めた視線で両親に挑みかかる子まりさ。

「おかじゃりがにゃいとせいっさいっされるもんにぇっ!!!
おとーしゃんも!!おかーしゃんも!!みんにゃもっ!!
おぼうしがにゃかったらまりしゃをいじめりゅんだもんにぇ!!!
おちょーしゃんとおかーしゃんにきょろしゃれるもんにぇっ!!!」
「ゆ……あ………ああ……おち、おちびちゃ………」
「ご……ごべん、ね………ごべんだざい………おぢびぢゃ………」
「いいよっ!!きょろしちぇよ!!
まりしゃはごみくじゅだもんにぇっ!!いきちぇるかちのにゃいくじゅだもんにぇ!!
まりしゃだっちぇもういきてちゃくにゃいよ!!
しゃあ、きょろしちぇねっ!!しゃあ!!しゃあ!!しゃあああ!!!」

帽子を打ち捨て、子まりさは唾を飛ばして怒鳴り親に詰め寄る。

「ごべんなざい!!ごべんなざい!!おぢびぢゃんごべんなざあああいい!!
ぼう!!ぼういじべだいがら!!ぼうにどどあんだごどじだいがらあああああ!!」
「ゆ゛ぅうううううおぢびぢゃ!!おぢびぢゃんっ!!ゆっぐじじでよおぉ!!!」
「ゆっくちしちぇ!?ゆっくちしちぇだっちぇえええぇ!!?」

叫んだ親れいむに向かって、子まりさは自分のまむまむを突き出して吼えた。
その傷跡生々しいまむまむからは、だらしなくしーしーが滴っている。

「こにょまむまむをみちぇよ!!もうまりしゃ、まむまむとじらりぇにゃくにゃっちゃよ!!
あにゃりゅもひりゃきっぱにゃしぢぇ、しーしーとうんうんがかっちぇにでちぇくりゅんだよっ!!
ひぢゃりのおめめしゃんもにゃいよ!!はしゃんもいっぴゃいなきゅなっちゃよっ!!
しーしーまみりぇのうんうんまりしゃがどうやっちぇゆっくちできりゅにょっ!!?」
「ゆあ………ゆ………あああああ………ごべ……ごべんだ………ざ…」
「まりしゃ、あかちゃんちゅくれにゃくなっちゃよっ!!
よかっちゃね!!おきゃあしゃん、あんにゃにうれちしょうにまむまむつぶしてちゃもんにぇ!!
もうまりしゃ、じぶんのあかちゃんとしゅーりしゅーりもできにゃいよ!!
ゆっくちしちぇだっちぇ!?ゆっくちしちぇっていっちゃの!?
ごんなぐぞばりじゃがどうやっちぇゆっぐぢでぎるっでいうんだあああ!!!
ごだえりょおおおおおおおお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」
「ゆぐじでええええ!!!ゆぐじでおぢびぢゃああああああん!!!」
「ごべんだざい!!ごべんだざい!!でいぶがわるがっだでず!!ごべんだじゃあああいい!!!」
「「「「ゆええええええん!!ゆうぇえええええええーーーーーーん!!!」」」」
「ゆぐぎゃああああああああああーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

さんざんに難詰して家族一同を泣かせたあげく、
ついに子まりさ自身も大粒の涙を流して慟哭した。もはやどこにも救いがない。
僕は子まりさの背中をつついて言った。

「はいはい、もういいかな?」
「…………」
「こんなお父さんとお母さんなんだけど、君のことを責任を持ってゆっくりさせるって言ってたんだ。
やっぱり親子の絆は断ち切れないもんだし、これからも面倒見てもらわないと。仲良くしていってね!」
「………しょんなこちょいっちゃの………?」

目を見開き、子まりさが親ににじり寄った。

「まりしゃを、ゆっくちさしぇるっちぇ………?
じゃあ、じゃあ、なんぢぇ、ぷーすぷーすしちゃの………?まむまむつぶしちゃの……?」
「ゆひいいいぃぃ!!」
「はいはい、キリがないからそこまで。ちょっとお兄さんに質問させてくれ。
ねえ、お母さん?お父さん?」
「ゆぐっ………?」

帽子を打ち捨てた傷だらけの子まりさと、無傷の家族たちを交互に指差して僕は聞く。

「片や、お飾りのない傷だらけの子ゆっくり。
片や、自分の可愛いおちびちゃんを喜んでぷすぷすして、おちびちゃんを生めなくした家族。
さあ質問だよ。『ゴミクズはどっちでしょう?』」
「…………!!!」
「おかざりのないゆっくりは視界に入るだけで迷惑をかける、と君たちは言った。
では、罪のない可愛い子を、あんなに親思いでゆっくりできた子をぷすぷすさんで傷だらけにする君たちはどうかな?
飾りがないというだけで、自分で生んだかけがえのない命を苛め、弄ぶ君たちは?
言っとくけど君たちの答え次第で、森に帰れるかどうかが決まるからね。
さあ、正直に答えてくれ。ゴミクズはどっちかな?ゲスはどっちかな?ゆっくりできないのはどっちかな?」
「あ゛……あ゛………あ゛あ゛あ゛あ゛…………!!!」

ぶるぶる震えながら、悲壮そのものの表情を浮かべる家族。
これなら正答を答えてくれるだろう。

「ば、………ば……ばりじゃだぢでじゅうう………!!」
「でいぶだぢだよ……でいぶだぢが、ごびぐずだったよ…………ごめん、な…ざい……」
「「「「ごべんなじゃい………ごべんなじゃい………ごべんなじゃい………」」」」

僕は満足し、子まりさに笑いかけた。

「さあ、お母さんたちは反省してるようだけど。許してあげようか?」
「………はんちぇい?」

暗い右目で僕を見上げ、子まりさは聞いてきた。

「はんちぇいってにゃに?
しょれ、まりちゃがまたあかちゃんちゅくれるようになりゅ?」
「あはははは!聞いてのとおりだよ、お父さんにお母さん。
ま、あとは君たち家族の問題だからゆっくり話し合ってくれ」

子まりさを家族のほうに押しやるついでに、帽子を拾い上げて尋ねる。

「あ、これ、いる?」
「いらにゃい」
「おぢびぢゃっ……!!」
「おぼうちがにゃければ、おきゃーしゃんがころしちぇくれりゅもん。
まりちゃ、ちにちゃいから、おぼうちいらにゃい」
「お、ぢび、ぢゃ………………」

ぼろぼろと涙を流して突っ伏す親れいむ。
死を望むほど生に絶望した我が子、自らの手でそこまで追いやった我が子と暮らしながら、
いったいこの家族がどんな団欒を見せてくれるのか見ものだ。

しかし、呑気なゆっくりがここまで悲壮感を漂わせるとはもはやギャグだ。
何よりも親の庇護を求め、愛されることを求めることにかけては人間の比ではないゆっくり。
自分の親から肉体を破壊されたうえに帽子以外の存在意義を全て否定されるという体験を経ると、
ここまで面白く捻じ曲がるというわけか。

「さて、昨日も言ったとおりだ。
君たちがしっかり反省して、弱い者苛めをしなくなったと確認できたら、みんな森へ帰してあげよう。
そのお帽子がなくなった子供をどう扱うか、お兄さんがしっかりチェックしてるからな。
餌は毎日お父さんとお母さんに渡すから、家族にどう分配するかも含めてそっちで考えてくれ。
じゃ、ゆっくりしていってね!!」

言い渡し、僕は後ろ手にベランダの引き戸を閉めた。

(中編2へ)
anko1745 よわいものいじめはゆっくりできないよ!(中編-2)

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